東部ニューヨークはロング・アイランド出身であるこのバンドは
ティム・ウィリアムス(vo)を中心に、ブレンダン・コーエン(ds)、マット・バウムバック(g)、マイク・ケネディ(g)、マイク・フライシュマン(b)
によるラインナップによって91年に結成される
Vision Of Disorder
ヴィジョン・オブ・ディスオーダ
次作でカオスの極致を極め、ピリオドの向こうへ飛び去ってしまう彼らの荒々しき原点が本作です。ベースにあるのはテンポを落とし、メタリックなギターサウンドにラップ調にまくしたてるボーカルが乗るというNYハードコアスタイル。彼らの場合、ラップだなんていえないほどのティムの激情ボーカルと歌メロをなぞるクリーンボーカルを組み合わせた現代的に言えばスクリーモのようなサウンドが特徴的(この時代でだ)。もちろん、ちゃちなスクリーモには収まりつかないアグレッションとアンダーグラウンドからくるどぎつい異端性が溢れている。次作と比べてティムのボーカルが大人しいのと、ややサウンドプロダクション(彼らの場合どうでもいいことだが)に難があったり、クリーンボーカル担当はどうにも下手だったり。それをふまえて憤怒にまみれたこの音塊を単なるラップかじりのハードコアとは一緒にしてほしくはない。本物の怒りと悲しみがここにあるのだから。
Imprint
インプリント
Vision of Disorder/Imprint
なんといっても凄まじいのがティムのやばすぎるボーカル。元々歌詞は聞き取り不能の絶叫をみせていたティムの歌唱はここにきて絶叫を飛び越してしまった。人外の域へ達し鬼神のごとく吼えまくるティムは感情表現うんぬんのレベルを超えた。ゴリゴリ、ガリガリと刻まれる怒りのギターとビシビシと容赦ない鬼畜ビートで作り上げられるのは、地獄のサウンドトラック。名曲#2で見られる絶望や、#3でみせる歌メロのセンスもばっちり研磨され歌ものというと語弊があるかもしれないが、「歌」としての魅力もばっちり持っているし、だめだめだったクリーンボーカルも不敵なまでの存在感を放っている。2流、3流のハードコア気取っているバンド共をぶっとばす痛快作。本当の絶叫がここにある。
For The Bleeders (1999)
For the Bleeders
フォー・ザ・ブリーダーズ
なんとも恐ろしい。かき集めの音源がこれほどまでの邪気をまとって襲い掛かってくるのはなんとも恐ろしいものだ。METALICAもSLAYERもSick Of It Allも好きな彼らのミクスチュア性も色濃くでている。怒りをぶちまけるのが本来のハードコアなら、やっぱり彼らはハードコアだ。ティムのボーカルやバンドサウンドはファーストと似た空気だが、単純にこちらのほうがメロディアスかつキャッチーで曲が良い。SLAYERの暗黒性をもったメロディにやられてしまうのです。
From Bliss To Devastation (2001)
From Bliss to Devastation
フロム・ブリス・トゥ・デヴァステイション
本作は彼ら最大の問題作として名高く、なんとも評価が難しい作品です。ストレートなハードコア色はまったくなくなってしまったといっていいし、元々スピードに重点を置くバンドでないにしろ、さらにテンポを落としヘヴィネスに特化したサウンド。なによりも前作のぶちぎれっぷりもどこへやら。彼にしてみれば普通になってしまったティムのボーカル。グランジやオルタナティブの影響が色濃い沈美なメロディをなぞるティムのボーカルも違和感こそないが、前作の音を求めると肩透かしを食らってしまう。この方向性を正直残念ではあるものの、ここに渦巻く本物の激情と憤怒の潮流は確かなものだから、駄作などと口が裂けても言うまい。