| EVILEはマット(Vo,Gu)とオル(Gu)のドレイク兄弟、加えてベン・カーター(Dr)とマイク・アレクサンダー(Ba)の4人によって結成された。
本作はプロデューサーにフレミング・ラスムッセンを迎え、製作された2007年リリースの1STフルレンスである。
「嗚呼、あの頃を思い出し、目頭が熱くなる!!」
なんていうレコード会社のキャッチフレーズにかのマサ"GOD"イトー氏も笑ったという英国はヨークシャー出身の純正スラッシュ・メタラーによるデビュー作が本作。その内容はドラクエのラスト・ダンジョン前の世界みたいなB級ジャケ・アートからも想像がつくスラッシュ以外のなにものでもない、ただのスラッシュ。
比較対象は言うまでも無く、初期METALLICAやANTHRAX、TESTAMENT、ANNNIHILATORなどのオールド・スクール・スラッシュ・バンド。それらのレジェンド・バンドの良い所をモダンになり過ぎないように注意してチョイスしてまとめ上げた、いかにも計算高い英国バンドらしい作風だ。
しかし、困った。基本的にこれ以上は語ることの無いバンドだ。マサ"GOD"イトー氏も言っていたが、あの時代のスラッシュを良く勉強しているのはよくわかる。わかるが、ロックってえのはお勉強で作るものじゃないだろ。確かにリフ質も悪くないし、楽曲のクオリティだけだったらぽんと80点はあげられるかもしれない。
ただ、「普通に良く出来たスラッシュ・メタル」以上の感想が浮かんでこない、あまりにお手本に忠実すぎる優等生ぶりはロック・バンドとしてはどうなのよ。あの頃を懐かしむアルバムとしては十分に機能する価値のある作品だと思うのだが、それ以上の魅力が備わっているかどうかは正直、微妙ではある。
まあハイ・スピードで刻まれるリフは確かにかっこいいし、メロディアスなソロも聴き応えはある。さらには意外にタイトなドラミング、完全にあの頃のスピリッツが宿ったヴォーカルとアルバムを聴いている内に「良い」となってくるのは「スラッシュ・メタルしか愛せない」というバンドの信念が生み出す説得力か。
「機嫌の悪いエモ・バンドや、面白くもないシューゲイザーが支配する現在のシーンに鋭くメスを入れる!」なんてキャッチ・コピーが語るほどの強烈なインパクトを現代の若者に与えられるかどうかはわからないが、往年のスラッシャーなら確かに聴く価値はあるアルバムかも。なんて結局は最終的に許しちゃうのがこの手のバンドの普遍的魅力なんだろうなあ。
あとは全体的な曲質の向上はもちろんのこと、テンポを落とした時のヌルさや長尺曲の冗長さが改善されたら、もしかしたら化けるかも!?なんてね。まあ憎めないバンドですわ。
2007.11. |