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怒りと憎しみで内を焦がすこの私がポスト・ロックなんて...到底合うとは思えない...なんていう冗談は置いといて各方面で大絶賛の嵐を巻き起こしているAMESOEURS、PESTE
NOIRE、元MORTIFERAのNeigeによるソロ・ユニットAlcest(いかにもなユニット名だな、おい)の1ST。こりゃ食わず嫌いしないでとにかく聴いてみようと思い、今こうして手にとって見たのだが...。
いや、これ、冗談抜きでマジにいいじゃないのさ!!本当にブラック・メタルやってたのといったくらいに極上のメロが洪水となって押し寄せてくるのにはいやはや、文句一つも出てこないわ。すげーの一言。
大体からしてポスト・ロックっていうのは元来雰囲気モノなイメージが私には強かったが、それに終わらない「歌」としての機能美に優れているのが凄まじい。この手の音楽ってアーティスト側の自己満足っていうか高尚気味な感性でなんとなく聴かせるっていうタイプのバンドが多いけど、このユニットにはそれが無いのだ。あくまでも「歌」、優れたポップ・ミュージックとして機能しているので、敷居の高さはゼロ。しかも、同時に気高いスピリチュアルな感性も存在しているのだからまったく恐れ入る。
分厚い情念の塊のようなディストーション・ギター、それと対比するのが心の琴線を鷲づかみ、涙腺とこの身を引き裂くような強烈な泣きメロ。そして、そこに乗っかるのがブラックをやっていたとは思えない虫も殺せないような青臭く柔和な歌唱を見せるヴォーカル。
危なげで、儚げで、朧気で手を伸ばせば消えていってしまいそうなあの日、あの時、どうにもならない、どうにもできなかった僕が今そこに見える。人生がフラッシュ・バックしてきそうな、まるで人生の走馬灯のような音色のキャンパス。それを彩るのは夢という名の絵の具か。
さらに楽曲によくよく耳を傾けてみれば、ネオ・アコ風だったり、民謡的アプローチが見られたり、それなりのミクスチュアはなされているようだ。そして、それらの要素を雑多になりすぎずにモイスチュアなメランコリアでソフトテイスティングする手腕はぽっと出のその他ポストロック勢の一つとして括るには才気に溢れすぎている。まだまだこの人達の引き出しはこんなもんじゃないんだろう。
個々の楽曲を取り上げるにしても、各々のクオリティが尋常じゃないくらい高く、捨て曲、ぬるい曲は皆無。特に「Tir
Nan Og」のまろやかなる美旋律のカーテンには悶絶させられた。
最近のENVYあたりが好きな方はもちろんのこと、JIMMY
EAT WORLD、LAST
DAYS OF APRIL、LEIAHあたりのエモ好き、そして、よっぽどポストロックが嫌いであるという方以外であれば、誰にでもお薦めできそうな名盤だ。
2007.12.31
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