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洋楽 フランス アーティスト

ポストロック

 

ALCEST

myspace

 

     アルバム             個人的満足度               

Souvenirs D’un Autre Monde (2007)

 

 

[収録曲]
1.Printemps Emeraude
2.Souvenirs D'un Autre Monde
3.Les Iris
4.Ciel Errant
5.Sur L'autre Rive Je T'attendrai
6.Tir Nan Og



[個人的満足度]
  ★★★★★★★★★★


 怒りと憎しみで内を焦がすこの私がポスト・ロックなんて...到底合うとは思えない...なんていう冗談は置いといて各方面で大絶賛の嵐を巻き起こしているAMESOEURSPESTE NOIRE、元MORTIFERAのNeigeによるソロ・ユニットAlcest(いかにもなユニット名だな、おい)の1ST。こりゃ食わず嫌いしないでとにかく聴いてみようと思い、今こうして手にとって見たのだが...。  

 いや、これ、冗談抜きでマジにいいじゃないのさ!!本当にブラック・メタルやってたのといったくらいに極上のメロが洪水となって押し寄せてくるのにはいやはや、文句一つも出てこないわ。すげーの一言。  

 大体からしてポスト・ロックっていうのは元来雰囲気モノなイメージが私には強かったが、それに終わらない「歌」としての機能美に優れているのが凄まじい。この手の音楽ってアーティスト側の自己満足っていうか高尚気味な感性でなんとなく聴かせるっていうタイプのバンドが多いけど、このユニットにはそれが無いのだ。あくまでも「歌」、優れたポップ・ミュージックとして機能しているので、敷居の高さはゼロ。しかも、同時に気高いスピリチュアルな感性も存在しているのだからまったく恐れ入る。  

 分厚い情念の塊のようなディストーション・ギター、それと対比するのが心の琴線を鷲づかみ、涙腺とこの身を引き裂くような強烈な泣きメロ。そして、そこに乗っかるのがブラックをやっていたとは思えない虫も殺せないような青臭く柔和な歌唱を見せるヴォーカル。  

 危なげで、儚げで、朧気で手を伸ばせば消えていってしまいそうなあの日、あの時、どうにもならない、どうにもできなかった僕が今そこに見える。人生がフラッシュ・バックしてきそうな、まるで人生の走馬灯のような音色のキャンパス。それを彩るのは夢という名の絵の具か。  

 さらに楽曲によくよく耳を傾けてみれば、ネオ・アコ風だったり、民謡的アプローチが見られたり、それなりのミクスチュアはなされているようだ。そして、それらの要素を雑多になりすぎずにモイスチュアなメランコリアでソフトテイスティングする手腕はぽっと出のその他ポストロック勢の一つとして括るには才気に溢れすぎている。まだまだこの人達の引き出しはこんなもんじゃないんだろう。  

 個々の楽曲を取り上げるにしても、各々のクオリティが尋常じゃないくらい高く、捨て曲、ぬるい曲は皆無。特に「Tir Nan Og」のまろやかなる美旋律のカーテンには悶絶させられた。  

 最近のENVYあたりが好きな方はもちろんのこと、JIMMY EAT WORLDLAST DAYS OF APRILLEIAHあたりのエモ好き、そして、よっぽどポストロックが嫌いであるという方以外であれば、誰にでもお薦めできそうな名盤だ。

 2007.12.31

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EP

Le Secret (2005)

[収録曲]
1."Le Secret"
2."Elevation"



[個人的満足度]
  ★★★★★★★★★★


 フランスのブラックメタル/ポスト・ロックバンドの2005年リリースのEP。いかにもおフランスなジャケ・アートから繰り出されるはいわゆる、ポスト・ロック、もしくはシューゲイザーという奴か。

 ちなみにシューゲイザーとは90年代初期、イギリスのインディーズで巻き起こったムーブメント。轟音ギターのフィードバック・ノイズ、夢幻的な世界観などを特徴とするネオ・サイケデリック・サウンド。ステージでギターを弾くスタイルが内向的で俯き加減であることから、Shoe(靴)をgaze(凝視)する者、Shoegazerと呼ばれるようになった。
 なんてメディアの受け売りで申し訳ないが、こんな感じ。それでこのバンドというかデュオのやっていることもノイジー一歩手前のディストーション・ギターとアーティスティックな感性を見せる曲展開、ソフトでナイーヴなメロのコントラストが肝というか。美と醜、秩序と混沌、再生と破壊、緊張と弛緩。一見儚そうで、芯が強く、芯が強そうなのに抱きしめたら折れてしまいそうで、地に足が着いたようで、近づけば飛んで行ってしまいそうな...そんな音楽、そんな世界。現実なのかもしれないし、幻想なのかもしれない。
 基本的にはインストものの雰囲気が強く、ヴォーカルはほとんど入らないが、この手の音楽性にありがちな線の細く、儚げなクリア・ヴォーカルがたまに挿入される。
 全2曲、一曲が10分を越えるという楽曲は実験的アプローチが強く、フルレンスには無い生々しさを感じてやまない。「Le Secret」は小川のせせらぎと小鳥のさえずりをフィーチュアした環境音楽、いわゆるアンビエント系。そして、「Elevation」は美メロをバックにヴォーカルが絶叫。このヴォーカルは始めはブラック系喚きかと思ったが、エモーションを滾らせ、沸騰させるスクリームと言った方が正しい。要するにはブラック・メタル勢より完全にわが国が誇るENVYに近いスタイルなのだろう。むしろ、ENVYのコアを極端なまでに切り取り、追い求めたものか。
 まず、始めに断っておくが、私はこういった聴き手に過剰なまでの難解さを提示して、理解と共感を求める音楽はそんなに好きではない。そんなものが好きだったら最初からパンクなんて聴いていないだろう。だが、このバンドにはそういった考え方を平伏させる圧倒的な轟音がある、美麗なメロディがある、強烈な説得力がある、そして、何よりもわかりやすいのがいい。
 曲の尺は確かに長いのだが、これほどあっという間に時間が流れる、その刹那の瞬発力に優れた音楽はあまり聴いたことがない。要するに雰囲気モノに終わらない優れたポップ・ミュージックとしての機能美も兼ね備えている、いや、これは雰囲気モノを越えた究極の雰囲気モノという考え方も出来るかもしれない。その場の空気を変える力、こちらの空間のカラーを変える力が確かに存在しているのだ。
 スロー〜ミドルテンポでじわじわと扇情力を高めながら、上昇力溢れる美旋律を奏で、正常と狂気を垣間見せるヴォーカル、ドタバタしたビートの狂騒感、それらを違和感無くまとめ上げる構築美。そのどれもが眩い個性に溢れていて真にファンタスティックな音楽だ。私のような門外漢にここまで言わせるほどの才能はあまりにも怖い。

 2007.12.31

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