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フィンランド

ヴァイキングメタル

アーティスト

Turisas

MYSPACE

 

フルレンス

     アルバム             個人的満足度               

 

 バトル・メタル

[収録曲]
1. Victoriae & Triumphi Dominus
2. As Torches Rise
3. Battle Metal
4. The Land Of Hope And Glory
5. The Messenger
6. One More
7. Midnight Sunrise
8. Among Ancestors
9. Sahti Waari
10. Prologue For R.R.R.
11. Rex Regi Rebellis
12. Katuman Kaiku
13. Till The Last Man Falls
14. Terra Tavestorum
15. Midnight Sunrise

★★★★★★★★★★

 TURISASウォーロード・ナイガルド(Vo)とユッシ・ヴィックストロム(Gu&Ba)によって1997年に結成。彼等の地元はフィンランドの戦いの神にちなんで名づけられたという小さな町で少し南に位置するハメーンリンナ。彼等の最初の音源は1998年に作られた「Taiston Tie(The Battle Path)」だったが、そのサウンド・クオリティの悪さからリリースされることはなかったようだ。  

 2000年に入り、バンドはデモCD「HEART OF TURISAS」をレコーディングしつつ、ライブを数々こなし、ファンやレーベルの関心を引いていく。  

 そして、2003年にCENTURY MEDIAがワールドワイドの契約を結び、バンドは記念すべき1STアルバムへの制作へと取り掛かる。同年12月、フランスのSOUND SUITE STUDIOSで本作「BATTLE METAL」のレコーディングをスタートさせ、プロデューサーにはTRISTANIAENSLAVEDを手がけたテリエ・レフスネスを起用している。  

 ヴォーカルやコーラスの他にも楽曲を彩る楽器、バグパイプ、アコースティック、パーカッションはフィンランドのSTEEL TRACK STUDIOでレコーディングされ、2004年の春に全ての作業をSOUND SUITE STUDIOSで完成させた。  

 いくつもの猛者を抱えるヴァイキング・メタル・シーンに彗星の如く現れた大型ルーキー、TURISASの2004年リリースの1STフルが本作だが、いやーこいつら何なの、ほんとに。良識ある方々(ひたすら整合性と様式美を重んじるメタル・サイド)には失笑を買うであろうメンバーのヴァイキングの戦闘装束からジャケ・アート。歌詞は読まんでも戦いと漢について歌っているのは想像に難くないし、とにかくもう真性のヴァカ・メタル。  

 その音楽性はホーンセクション、ストリングス、クワイア、ヴァイオリン、アコーディオンなどのオーケストラルな武器(楽器)を駆使したいわゆるシンフォニック・メタルと呼ばれるものか。いや、シンフォニックと呼べるほど高尚な連中ではないが(笑)。そこがこのバンドの最大の魅力である。  

 さらには大仰という言葉には括れそうも無い馬鹿馬鹿しい合唱コーラスをフィーチュアし、基本ミドル・テンポでガツガツと攻め立てる。そういった志向から「ヴァイキングなMANOWAR、もしくはRHAPSODY」という形容も出来そうな孤高の世界観を形成しているのはなんとも圧巻だ。  

 ヴォーカルはブラック・メタル系一歩手前のダミ声だが、エクストリーム性を押し出すと言うよりはあくまで感情が先走りすぎてそうなっているだけ。咆哮は自らを鼓舞し、合唱は戦士達を一体化する術か。  

 また、シンフォニックなアプローチにそれとなく刻まれるのがシンプルなリフであり、士気を高めるが如きバトル・ドラミング。ぶっちゃけ言ってしまえばオーバー・プロデュースなことこの上ないし、涙腺を刺激する泣きメロがかけるとかいう器用なバンドではない。  

 さらにメンバーのルックスからキワモノとして扱われてしまいそうなバンドだが、いやいや、この戦士達何気にコンポーズ・センスに優れてやがんの。「こいつら...」なんて心底呆れつつ、「バトルッメトゥ!!バトルッメトゥ!!」、「ライララーィ♪」とかシンガロングしている自分がいるのに気づく。  

 実はそんなに歌メロがキャッチーだったりするタイプではないのだが、ひたすら漢の本能に訴えかけてくるというか。とにかく雰囲気もの一歩手前ながらも楽曲に正座して真正面から向かわなければならない魅力を秘めた連中だと思う。楽曲の品質以上に奴らの世界観にぐいぐい引き込まれる妙な中毒性ありだ。  

 個々の楽曲を取り上げるのも馬鹿馬鹿しくなるが、もうどんな曲かは曲名から嫌と言うほどわかる3. Battle Metal、アルバム中屈指のシンフォニック・ナンバー4. The Land Of Hope And Glory(別名ライラーイ♪)、漢汁したたる5. The Messenger8. Among Ancestorsといった楽曲も破壊力あり。また、コンパクトな9. Sahti Waariも侮れない。ほとんどインストと化しているのが惜しいくらいだ。  

 そして、思わず肩を組んで合唱したくなる名曲7. Midnight Sunriseが君臨。アルバム後半に行けば逝くほど、雄度、馬鹿度、ガイキチ度が加速していくのにはもう御免なさい、堪忍してと言ってひれ伏すしかない有無を言わさぬ説得力に溢れていて激ファンタスティックだ。  

 真摯なまでのバトル性がFFやロマサガなどのゲーム・ミュージックに通ずるというのも納得。明らかに常人とは違うベクトルと「武士道は死ぬことと見つけたり」=「ヴァイキングは闘って死なないとヴァルハラに逝けない」というストイズムに惹かれる方は買って損は無い血作でしょう。あと、フォーク・メタル好きにもお薦めできそうだ。  

 ていうかもしかしたらOiパンク好きにもお薦めできんじゃね(笑)。  

 まあ細かいことはもうどうでもいいだろう。この文を読んで不覚にも闘争心に火が付いてしまったヴァイキング達よ、武器(本作)を取れ!!

 2007.12.14

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 Varangian Way

 

[収録曲]
01.HOLMGARD AND BEYOND
02.PORTAGE TO THE UNKNOWN
03.CURSED BE IRON
04.FIELDS OF GOLD
05.IN THE COURT OF JARISLEF
06.FIVE HUNDRED AND ONE
07.DNIEPER RAPIDS
08.MIKLAGARD OVERTURE

★★★★★★★★★★

 前作「BATTLE METAL」のリリース後、バンドはTUSKA FESTIVALやWACKEN OPEN AIRに出演するなどして精力的な活動を続ける。
 しかし、ここでバンドに悲劇が襲い掛かる。ギタリストのゲオルグ・ラークソーが2005年10月28日未明、運転中高速道路から道を外れてしまい、鹿よけフェンスを突き破り、森の中60メートル先でようやくストップするという大事故を起こす。
 最短で見積もっても意識の無いまま12時間にわたりフィンランドの冷たい大地に投げ出されていた為、発見時の体温は20.1℃だったという。その後病院に運搬され心臓、腹部、足を手術するが、後遺症として下半身&手の麻痺が残り、ギターが弾けない身体になってしまうことになる。
 ゲオルグのこの事故はバンドにとって存続と言う意味でも大事件であったが、バンドは新しいギタリストを入れずに活動を続けることを決意。
 アルバム制作は予定より大幅に遅れてしまったが、2006年11月からSound Supreme Studioに入り、本作「THE VARANGIAN WAY〜大航海戦士〜」のレコーディングに取り掛かったのであった。
 ジャケットはCRADLE OF FILTHHAWKWINDを手掛けたJohn Coulthartが担当。ポスター等に使われる宣伝文句は「V For Vendetta」を書いたアンディ・ムーアが担当している。
 さらには本作からサポート・メンバーだったアコーディオン・プレイヤーとベーシストが正式加入しているようだ。

 アルバム・タイトルになっているVarangianとは、中世のスカンジナビアに住んでいたヴァイキング達のことで、彼等がテーマとなっている。バルト海を越え、栄光を掴むため東へと冒険する正に壮大なストーリーなのだ。
 ってのっけからかましてくれる真性ヴァイキング・メタラーの第2弾ということでその内容は美麗なジャケ・アートからもわかるようにやっぱりこちらの期待を裏切らない。その戦馬鹿っぷりは相変わらずというか前作以上。まさに馬鹿は死ななきゃ治らないとはこのことだが、この人達の場合死んでヴァルハラに逝ってもこんな感じなんだろうなあ。
 さて、気になる本作の内容だが、前作のシンフォニック・メタルを基盤にしつつ、さらに大仰に、シンフォニックな要素を強めたもの。曲によってはロシア民謡的なメロも飛び出し、民族の血が色濃く出ているのが特徴的だ。
 前作は北欧らしいフォーキーなアレンジも多く見られたが、本作ではそれは控えめ。クワイアがひたすら鳴り響き、漢達は戦場へ。どうやら小手先の哀愁よりファンタスティックなリリシズムを強調するのに意識が向いているようだ。
 また、クリーン・ヴォイスの割合が増えたヴォーカルのオペラチックな歌唱も含め、オーケストラ色がかなり濃厚になっている。ベクトル的には最近のMANOWARにさらに近づいた印象。まあ徹底的にHEAVY METALの何たるかを突き詰めるMANOWARに対し、こちらはメタル要素はあくまでもヴァイキング世界のムードを打ち出す為の道具に過ぎないというのがポイントか。とにかくその馬鹿馬鹿しさと勇壮さは何度も言うが前作以上であり、その高潔なる魂は不用意に手を出したら火傷してしまうこと間違いない。
 特に後半の楽曲の06.FIVE HUNDRED AND ONE08.MIKLAGARD OVERTUREの流れは鉄壁のヴァイキング組曲であり、この手のトゥルー・エピック・メタルにどうしようもなく愛着を感じるという方にはたまらないだろう。
 ただ、少し気になるのが前作で言う「Battle Metal」、「Midnight Sunrise」クラスのキラーチューンが無いこと。このような楽曲に見られたちょっぴりジャーマン・メタルに通ずる無骨な臭みがシンフォニック要素に飲まれてしまっているのだ。
 また、オーケストラ色が強くなっているせいか映画、ゲームのサントラに聴こえなくも無い為、ヴォーカルが完全にバックの劇性と一体化してしまっている。歌メロもあまり耳に残らないので即効性は希薄。要するにアルバム全体で聴かせるタイプの作風なので個々の楽曲の印象があまり残らないのが難点。
 そんな訳で前作以上に雰囲気ものに傾倒している印象が強く、あれだけシンガロング欲を誘った合唱コーラスも高尚過ぎる為、置いてけぼりを食らってしまうのが個人的には残念ではある。
 それでもアルバム一枚聴き終えた時の充足感は思った以上に大きいし、こるぴさんが年間ベストに挙げるほど並々ならぬ愛情を注ぐのも納得の濃厚な一枚だ。


 2007.12.15

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