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ドイツ メタルコア 

アーティスト

Caliban

 バンドは1997年に最初Never Againという名で結成され、その後すぐにCalibanへ改名された。

 2曲入りデモ・テープが評価されバンドはあの名高いLifeforce Recordsとレコード契約を交わし、1998年にバンド名をタイトルにしたEPをリリース。

 翌年の1999年にはファーストアルバム『A Small Boy And A Grey Heaven』 をリリースし、デビューに向かう

フルレンス

   アルバム               個人的満足度           

 ア・スモール・ボーイ・アンド・ア・グレイ・ヘヴン

 

★★★★★★★★★★
 1999年リリースの 1STフルレンス

 ジャーマンメタルコアシーンの勝ち頭CALIBANの青きデビュー作なのだが、いやーこれが青くて熱くてかっこいいじゃないの。

 いかにもヨーロピアンな#1のイントロで幕を開ける本作はファーストだけあって、最も初期衝動に溢れ、最もハードコアとリンクする作品だろう。

 #2なんてギターがメタリックなことを除けば、ほとんど純正ハードコア。そう、このバンドの最大の魅力というのはそのハードコアスピリッツからなる本気度の高さ。#4の強烈なスクリームの応酬なんて喉を焦がさんばかりの激情っぷりでなんとも愛しいのよ。

 さて、音楽性の方はまあ世間一般で言うメタルコア勢の中に入れることは出来るのだろう。簡単に言えば若干、テンポを落としたメロディアスなハードコア。

 しかし、このバンドの面白いところは他のメタルコアバンドと比べると、北欧メロデスの影響をあまり感じない(もちろん、全くないというわけでもないが)。ささくれだった凶悪ギターはメロディアスで荘厳な雰囲気を纏っていてMORBID ANGELを彷彿させる邪気である。

 たまに挟まれるインストも米国産には出せない味だわなー。このウェットなダークネスはスイスの名スラッシュバンド、CORONERを思い出す。メロウな#12、胸をかきむしるかのような哀感を放つ#15なんてすごく良いじゃないか!!

 また、ジャーマンメタルの気高き精神力を血に滾らせたストイックな面も見られるし、ひいきしちゃうけど好きなんだよなーこういうバンド。

 終始、絶叫するボーカルの儚さや臨界点を突破するようなカオティックなエナジーに伝説のカオティックハードコアバンド,ORCHIDをまたまた思い出したりもしちまったよ。

 なんだか昔の色々なバンドを思い出したが、要するにこのバンドは過去の暗黒性をもった先輩達のソウルを自らの燃料とし、燃やし尽くして動いているのだ、きっと。

 まあ確かにサウンド・プロダクションも荒削りだし、曲作りに甘さは見られる。というか純正メタラーの皆様からするとやっぱりムラがありまくりなんだろうなあ。

 しかし、この暗黒魔闘気をまとって玉砕するかのような体当たりロックはやっぱり純粋にクールだし、そもそもロックってこういう衝動が体を動かすと思うのだ。

 もちろん、彼らのアルバムを初めて聴く場合の入門用としては向かない作品だけど、私はこういうロックがたまらなく好きなんだよな。え、一本調子?上等だぜ!!

 チープだけど、この頃からメロディは豊潤だったということも付け加えておく。このアルバムを今の彼らでリメイクしても面白いんじゃない?彼らの初期衝動の塊である。

 そこはかとなく漂うB級感も今となっては懐かしいし、メラメラと鬼火のように燃え上がる情念はあまりに儚く、尊い。

 2007.10.2

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 Vent

 

★★★★★★★★★★
 2001年4月リリースのCALIBANの 2NDフルレンス

 奥底にハードコアの根っこを張りながら、メタリックかつ攻撃的に攻める1STは個人的見解からすると中々楽しめた作品だった。

 本作では楽曲のスローダウンの多用と、よりメタリックになったサウンドにより、比較的わかりやすい作風となっている。

 北欧メロデスに近づいた、もしくはKILLSWITCH ENGAGE に近づいたなどと言われそうではある。

 だが、欧州的なメロディの臭みや直情的なストイズムはやっぱりこのバンド独特のものだし、一概に個性が希薄になったとは言えないと思う。

 オマケ程度に仕込まれたデジタルなアレンジや長尺化した楽曲はストレートなハードコア性の減退を感じさせる。また、ひんやりとした冷気を帯びたギターにはブラックメタルな味わいが一層強くなった気がする。

 ただ、それほどメロディにフックはないし、序盤からゆったりテンポの楽曲が延々と続くので退屈さや冗長さを感じるのは否めない。

 女性ボーカルをフィーチュアした#5#7とかアコギ・パートの導入だとか色々工夫は見られるものの、楽曲にMAXに機能しているとは言いがたい。

 スローダウンしたモッシュパートこそこのバンドの魅力という意見もあるが、そればかりだとどうにも飽きが早い気がする。同じリフや曲展開を繰り返す#8にしたって6分もあるのだからきつい。

 長尺なわりに、耳にひっかかりにくい楽曲をどうにかできたら大化けしたかもしれないアルバムではある。

 しかしながら、エモーショナルに緩急を生かした#6などの佳曲もあり、アルバム後半の#11もヘイト丸出しで圧倒されるし、そうそう捨てたもんではないか。

 それにしてもアンディーの絶叫は相変わらず凄まじい。なんちゃってスクリームの多い昨今のバンドの中で特に異彩を放つのではないだろうか。その点だけでもこのバンドの立ち振る舞いの格好よさが伝わってくるようである。

・You Tube

 #2「FIRE OF NIGHT」

 2007.10.3

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 Shadow Hearts

 

★★★★★★★★★★
 2002年リリースの 3RDフルレンス

 プロデューサーに KREATORGRIP INC .等を手がけるSIGGI BEMM を起用。バンドは彼と一緒にHEAVY METALスタジオ WOODHOUSE STUDIO に入り、本作を制作する
 本作はCALIBANの3RDフルレンスにあたる作品だ。
 BEAST FEAST で初来日を果たした彼らだが、おお、こうも順当にレベルアップしてくるとは。前作ではテンポを極力落とし、そこに暗黒たるへヴィネスを表現していた彼らだが、本作では緩急を生かした作りが絶妙な塩梅を生み出している。
 どういうことかというとスロー〜ミッドテンポ中心で表情を変えていた前作の楽曲と違い、スラッシィな猪突猛進さやメロディックなパート、クリーンヴォーカルの増加など随所に今までと違う試みが見られるのが特徴的なのである。
 特にスラッシィなギターリフは前作のもったり感を吹き飛ばす心地よさ。やはり、スローダウンは突進があってなんぼだよ。思えば前作は緩急があまりにも足り無すぎたんだよなあ。それを目指していないといわれればそれまでだが、このわかりやすい攻撃性の方が個人的にはずっと好みである。
 ここに来てアメリカのメタルコア勢とのカラーリングが明確に分かれて来た気がする。
 もちろん、前述したクリーン・パートなどの手法はメタルコアバンドのお決まりのパターンとはなっているが、やはりこのバンドはマグマの如き高熱アグレッションと血を吐かんばかりのヴォーカルの絶叫。ゴシカルで悲壮感を漂わすメロディの臭みから生み出される圧倒的な劇的さからなるこのバンドならではの味わいが魅力的なのだ。
 相変わらずなアンディーの絶叫も前作に増してレベルアップしているということも欠かせない要素だろう。得意の凶悪スクリームもよりキレとノビを増した印象を受ける。
 #4#5といった良曲がそれを如実に表し、ジャーマンの血がそうさせるのか、今までにないテンションの高さは聴き手のハートをズタズタに切り裂くかのようだ。#9などパンチ力のある曲が後半にあるのも大きい。前作の冗長さは無くなって嬉しい限りである。
 彼らならではのCALIBAN節がひとまず確立された重要作。KILLSWITCH ENGAGEが失ってしまった禍々しい負のエナジーを未だに持っていることを高く評価したい。

・You Tube

 #2「Forsaken Horizon」

 #5「Bad Dream」

 2007.10.

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 ジ・オポジット・フロム・ウィズィン (初回限定盤)

 

★★★★★★★★★★
 2004年リリースの 4THフルレンス

 今やジャーマン・メタルコアシーンでは一歩飛びぬけた存在になった彼ら。本作はこれまでの LIFEFORCE から ROADRUNNER への移籍作ともなる4作目のフルレンスということになる。
 ちなみにミキサーは アンディー・スニープ、プロデューサーは IN FLAMES の アンダース・フリーデン というこの界隈では有名なご両人。
 このアルバムを出したことにより、彼らは世間にKILLSWITCH ENGAGE 化したと言われることが多くなった。なるほど、1曲目からメロディックなクリーン・パートを大々的にフィーチュアし、歌もの化とも言える作風は確かにそう捉えることができるかもしれない。
 しかし、今更そんなこと言っても仕方が無くない?そもそもKILLSWITCH ENGAGEに似ているというなら、初期から無理やりにでも括れたわけだし。彼らは正統たる進化をしているの事実であるし、安易にKILLSWITCH ENGAGE 化したなんてことにこだわればこの作品の本質を見抜くことは出来ないだろう。
 なーんて偉そうなことを言っては見たが、これ、前作と比べるとファースト・インパクトはえらい弱いんだよね。確かに欧州ならではのウェットでメランコリックなメロは心に響くものがある。それでも前作までにあった暗黒瘴気を纏った負のオーラの減少に残念な気持ちを隠しきれない。
 アンディーのボーカルも初期の悪魔的な雰囲気、ダーティーさや粘着質な部分が無くなり、すごくスマートなスクリームになってしまった印象を受ける。彼のスクリームが大人しくなったことにより、元々微妙だったクリーン・ボーカル担当の拙さがより目立つようになってしまった感は否めない。
 ジャーマンスラッシュのようなブラックメタル的な暗黒性は大好きだったし、それがこのバンド独特の気高き精神性を表していたと思うのだが。まあこうなってしまえばKILLSWITCH ENGAGE 化したとの声が出るのもある程度当然のことなのだろう。
 初期衝動が無くなってしまったことは純粋に残念ではあると思うし、ここに出てきたメジャー感が彼らの魅力の一つであった良い意味での「B級臭さ」を削いでしまっているのは間違いない。
 しかし、それらを踏まえてもさすがジャーマンメタルコアシーンのエース。良く聴き込んでみれば彼らが順当な成長を続けていることはわかる。#5なんか前作のスラッシーな攻撃性を受け継ぎつつ、よりメロディに深みを増した良曲ではないだろうか。
 うーん、それでも前作と比べると強力なパンチ力や突き抜けたものはないわな。
やはりこのバンドはメジャーになりきれない暴れん坊っぷりが良かったんだと再確認した次第であります。

・You Tube

 #1「THE BELOVED AND THE HATRED」

 #6「STIGMATA」(Live)

 2007.10.

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 ジ・アンダイイング・ダークネス (初回限定盤)

 

★★★★★★★★★★
 2006年リリースの 5THフルレンス

 初期のやけっぱちな衝動や殺気に任せたどす黒い攻撃性はなりを潜め、スマートかつ無難にまとめてメジャー感を出した前作「The Opposite From Within」は悪くは無いものの、強烈なパンチ力の欠如を感じてやまなかった。
 イントロから始まるということでちょっとした原点回帰もあるのかなと思っていたが、作風は前作のまんま延長線上。メジャー感そのままの世間一般で言う「メタルコア」そのものとなっている。
 良くも悪くも前作と変わらないサウンドなので語ることが少ないが、トータルで見てさらにメジャー感を増したというか。
 アンディーのヴォーカルもすっかり落ち着いてしまった為、アメリカのメタルコアバンドに聴こえなくも無いし、モッシュ・パートとクリーン・パートのありきたりな組み合わせにはもうそろそろ飽きてきた。それを打破できるようなキラーチューンの不在が無いのが痛い。
 それでも#5#9のようなコクのあるメロディを搭載した楽曲なんかは純粋に彼らが今も成長を続けている証なのだろう。
 欧州産ならではダークでいて、ゴシカルな臭みを持ったメロディは健在だし、彼ららしさは失われていないが、やっぱり曲が弱いのがねえ。前作にも増してテンポが落ちて、即効性が後ろに引っ込んだ気がするし。
 何度も口を酸っぱくして言うようだが、CALIBANの魅力とは劇的と激的が織り成す、コンボであり、ケミストリである。
 決して悪くは無い作品だが、初期の底なしの邪悪さやストレートなかっこよさを知っている身としては最近の落ち着きぶりはすごく残念だ。
 聴き込むとそれなりに良いのは前作と一緒だし、メロディに限って言えば前作より上だとは思うんだけどなあ。

・You Tube

 #2「I Rape Myself 」

 2007.10.

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 ジ・アウェイクニング

 

★★★★★★★★★
  2007年リリースの 6THフルレンス。 ミキシングはキルスウィッチ・エンゲイジのアダムが手掛け、マスタリングはドイツのセンデンにあるPrinzipal Studiosで行われた。

 ここ最近は成長は見られるし、悪くは無いもののどこか突き抜けた感を欠く作品が続いていた彼ら。今回もちょっとマンネリなのかなあと思いつつ聴いてみたら、すごい良いじゃない!?アルバムタイトルの「awakening=覚醒」通り、本当に目覚めてしまったのだろうか。

 基本的な作風は前作の延長線上ながら、初期の高熱アグレッションが戻ってきているのが嬉しい。アンディーのヴォーカルだってかなり洗練されてきているし、ささくれだったブラックメタル風の凶悪ギターはなりを潜めてはいるが、この高いテンションはどうだ!!

 スロー〜ミドルテンポの楽曲をメインにやっていた前作、前々作と比べると即効性は雲泥の差。一聴してやられてしまうぶっ殺しチューンが満載ではないか。スラッシーに走る突貫性も復活してきているし、こりゃ良い仕事してきたねー。

 最も重要なポイントは歌メロの研磨。前作、前々作 も歌ものメタルコア志向だったが、メロディのフックはこれまた雲泥の差。リーダートラックに始まり、#2〜#7まで印象的なメロを噴水の如く吹き上げる叙情美は凄まじい。クラシカルなアプローチも強くなり、扇情力は並ではない。

 タイトルチューン#8はほとんどインストみたいなものだが、アルバムの展開を盛り上げる良い要素にはなっている。後半の楽曲はどちらかというと落ちついた曲が多いが、#11#12でアルバムを攻撃的に締めくくるのはなんとも潔い。

 本作の最大の肝であるメロディック・パートを大いに盛り上げるのが、デス・メタリックなブルータリティであり、荒ぶる魂が躍動するモッシュ・パートである。モッシュもメロディもビルドアップされて、初期の攻撃性が戻ってきているならこりゃ良くなるのも当然だわな。

 また、クリーン・ヴォーカルの方にもかなりの成長が見られ、歌メロのパワーアップに一役買っている。別に特別すごいレベルに上がったわけでもないが声量、声圧ともにへなちょこ気味だった今までと比べるとだいぶマシになっているのは評価したい。

 アルバム序盤の楽曲はキャッチーで即効性はあるが、飽きやすい気がする。個人的には中盤のメランコリックな楽曲の味わい深さにやられたし、こちらの方が長く聴けそうである。

 世間ではもっとKILLSWITCH ENGAGE 化したという声があるが、とんでもない。似ていることは別としても彼らの進化のベクトルはもはやそっちには向いていない。個人的に何に似ているかと言われれば最近のIN FLAMESではないだろうか。 メロディック・パートの破壊力は彼らに迫らんばかりの勢いだ。

  オープニング曲でファーストシングル曲である「アイ・ウィル・ネヴァー・レット・ユー・ダウン」では“目覚めよ、欲しいものを手にするため立ち上がれ―外へ出て思い切り生きよう”とバンドは叫ぶ。なんちゃってメタルコアバンドに果たしてこんな言葉が言えるだろうか。この作品に自信があるからこそ言える力強い言葉である。そうそう、こういうわかりやすい攻撃性を持ってこそCALIBANなのだ。

 マークとプロデューサーのベニー・リヒターがスタジオに入る前の段階で綿密にプレ制作を行ったらしいが、なるほど、アルバムの楽曲がスマートに洗練されているのはそのお陰か。

 やはり、このバンドの魅力は最近のアメリカ産メタルコア勢に無い聴き手の意識を刺激するソウルなんだなあと再確認。なにはともあれもう落ち着いただなんて口が裂けても言えまい。間違いなく現時点での彼らの最高傑作だ。

 この作品で彼らはジャーマン・メタルコアシーンどころか、世界のメタルコアシーンを一歩リードする存在になったのではないだろうか。今のところこれを越えるアルバムは今年のメタルコア勢には見つからない。

 曲ムラもほとんど見られない楽曲の充実振りからすると、特に彼らのアルバムの中での入門用にお薦めしたい。もちろん、メタルコアって何?っていう問いに明確に答えることが出来る作品だと思う。まあメタルコアってカテゴライズは私は嫌いなんだけど。

 ちなみに、日本盤のみに収録されるボーナス・トラック、「シー・ザ・フォーリング・スカイ」には、IN FLAMESのフロント・マン、アンダース・フリーデンが参加している。

・You Tube

 #1「I Will Never Let You Down」

 #2「Let Go」

 2007.10.3

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