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メロディックデスメタル 

アーティスト

 Children Of Bodom

 

 93年春、フィンランドはエスボー。アレキシ・ライホ(vo、g) と ヤスカ・ラーチカイネン(ds) を中心とした、INERTHED なるスクールバンドが CHILDREN OF BODOM の前身であった。この INERTHED は音楽的には典型的なデス、スラッシュをプレイしていたという。

 一度はインディーズレーベルと契約するも、メンバーはこれが気に食わず、契約破棄を目的に一度解散。その後、アレキシ・ライホ と ヤスカ・ラーチカイネン(ds) をはじめ、 、 ヤニ・ピリショキ(g) 、 サミュラ・ミーテナン(b) というラインナップを揃えて彼等は CHILDREN OF BODM としてバンドを再結成させる。

 ちなみにこの CHILDREN OF BODOM なるバンド・ネームは彼らの地元から20キロほど北に位置する、ボドム湖に由来している。ここでは63年、キャンプ中の少年2人と少女が刃物で惨殺。生き残った若者は発狂してしまったということで地元では有名な事件である。

 この後バンドは首都のヘルシンキを拠点にライブ活動やデモテープ作成に専念。ここで94年の 「UBIQUITOS ABSENCE OF REMISSION」 、96年の 「SHINING」 と、2本のデモを作成する。しかしメンバーチェンジが多かったらしく、94年に ヤニ が、脱退。後任には アレクサンダー・クオファラ を迎える。

 また ヤンネ はキーボーディストとしても一度バンドに戻るのだが、結局解雇されてしまう。一方 サミュラ が95年にアメリカ移住のために脱退。

 後任に ヘンカ・セフェラ がここで加わっている。 アレキシ 自身も97年に一度、ブラックメタル・バンドの THEY SERPENT に加わるのだが、 CHILDREN OF BODOM のほうはそれでも継続していた。
 97年、アレキシ の兼任バンドである THY SERPENT のリーダー、サミ・テネツ の紹介で、SPINEFIRM とのディールを結ぶに成功したバンドは、この後アルバムデビューへと向かうことになる。

 

フルレンス

  アルバム               個人的満足度                

Something Wild (1998)

 サムシング・ワイルド

 

個人的満足度
 ★★★★★★★★★★
メロディ
 ★★★★★★★★★★
パワー  
 ★★★★★★★★★★
スピード
 ★★★★★★★★★★
 1998年リリースの1STフルレンス

 非常に恐ろしいバンドだ。今ではこの手の音楽性をやるバンドは数の子状態ではあるが、当時このような高い音楽性と美意識を持ったブラックメタルバンドはほとんどいなかった。

 つまり、ネオクラシカルブラックメタルと呼ばれる現代メタルの一つを高い完成度を送り出したのは間違いなく彼らが最初だったはず。YNGWIE J.MALMSTEEN からの影響を明かに思わせる アレキシ・ライホ のギタープレイはなんと当時若干18歳であるから驚きだ。

 さて、内容はというとテクニカルかつクラシカルなギタープレイとキーボードに美しく彩られたメロディックブラックメタル。まあここでは便宜上メロデスということにしてあるのだが。

 そこにアレキシの絶叫デスボイスを乗せ、キラキラ、ピロピロと軽やかに疾走していくというのが基本的なパターンである。へヴィネスより跳ねるような躍動感、さらにはカッチリした整合感を重視している為、聴きやすさ、耳になじむという点においては抜群の扇動力を持っている。

 また、その心地よい疾走感を助長させているのが、ビシビシ刻まれるブラストビート。前述したギターとキーボードに注目しがちになるが、この鋭角的なビートはこのバンドには欠かせない。

 高い演奏力に裏打ちされるプログレッシブな構築美、複雑になりすぎない柔軟さ、大仰に展開されるセンスの高い楽曲。ぽっと出の新人が作ってしまうアルバムにはとても聴こえないクオリティの高さには脱帽である。

 ただ、残念なのがサウンドプロダクションとアレキシのボーカル。前者はとにかく音が軽い。ペラペラしたギターと圧力の弱いビートはせっかくのハイレベルな演奏を若干曇らしていると言える。後者は弾きながら歌っているにしてはすごすぎるが、残念ながら上には上がいるということしか言えない。

 それでも序盤から粒ぞろいの楽曲を連打する様には末恐ろしいものを感じる。リーダートラックはもちろん、#2、#3、Royal Huntを彷彿させるクラシカルな#4、#5、ドラマティックプログレッシブメタルこの上ない#6、透明感溢れるメロが流麗と流れていく#7と各楽曲の聴き所の多さに聴き手は引き込まれるしか手はない。

 この際、ブラックメタルにしては品が良いとか、人が良すぎるとかメロデスどうのこうのは置いて耳を傾けてみることをお勧めする。現代最高峰の高品質メタルであるのは間違いない。

 2007.9.5

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Hatebreeder (1999)

 ヘイトブリーダー

 

個人的満足度
 ★★★★★★★★★
メロディ
 ★★★★★★★★★
パワー  
 ★★★★★★★★★★
スピード
 ★★★★★★★★★★
 1999年リリースの2NDフルレンス

 順当な進化、パワーアップ、スケールアップ。それらがなされたある意味セカンドらしいセカンドアルバムと言える。

 相変わらずテクニカルなギタープレイは忙しさを増しているし、バンドカラーを決めていると言ってもいい荘厳かつ流麗なキーボードは華麗だ。

 おっと、しばき倒さんばかりにぶったたかれるブラストビートも心地よいことこの上なし。

 初期の彼らの良いところというのは間違いなくクラシカルなメロディの臭み。言わずもがな北欧メタルの叙情美、様式美に彩られたメロディはプンプンと匂ってきて、聴き手のハートを鷲掴みにする。

 また、前述したメロディのパンチ力が付いたと共に各メンバーの成長がこのアルバムを名盤として構築するに至った要因であると思う。

 たくましくなったリズム隊、殺傷力を増したアレキシのボーカルが一体となって狂喜乱舞するこのテンションの高さはどうしたことだろうか。それがどうしようもないほどのキャッチーさ、中毒性を生み出し、カタルシスが五臓六腑に洪水のように押し寄せ、エクスタシーが体中を駆け抜け台風のように去っていく。

 勢い先行ではなく、バンドの上昇気流がそのまま楽曲の良さに直結しているというの素晴らしい。ドタバタしていながらもしっかりとしたリズムが抜群の性急感、疾走感を生み出し、芝居じみたドラマティックな曲展開が嫌味なく機能している。

 序盤の#1-3の流れは絶品だし、後半に行けば行くほどテンションの上がる馬力には感服させられる。スラッシーに畳み掛ける#7のようなストロングスタイルな楽曲も非常にクールだ。#8のバンドのテーマソングの力の入りっぷりには圧倒されるし、#9のクラシカルギターバトルは凄まじい。

 全曲名曲と言っても良いクオリティの高さは美と醜のコラボレーション、「メロディックデスメタル」の一つの頂きに至ったといえる。          

 2007.9.5

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Follow the Reaper (2000)

 FOLLOW THE REAPER

 

個人的満足度
 ★★★★★★★★★★
メロディ
 ★★★★★★★★★★
パワー  
 ★★★★★★★★★★
スピード
 ★★★★★★★★★★
 2000年リリースの3RDフルレンス

 前作で北欧激烈メタルにクラシカルな様式美、プログレッシブな構築美を組み合わせたチルボド節の一つの完成系を見せてくれた彼ら。本作はその順当な次作といっていい安定した作品となっている。

 この辺りになるとバンドとしての成熟が進んできたのか、初期にあった北欧ブラックメタル縁のゆらゆらと揺れる邪性であったり、禍々しいまでの暗黒性はほとんど払拭されている印象を受ける。

 それはバタバタと性急感をかもし出していたブラストビートが後ろに引っ込んでいるのも影響しているだろう。

 また、クラシカルなギタープレイとキーボードによるメロディの臭みがずいぶんと無くなっている。さらにはシアトリカルな大仰さはなりを潜め、スマートにまとまってきているし、代わりにへヴィメタルとしての骨太さを強調すると共に、メジャーさを増したポップ感をずいぶんと感じる。

 その洗練さゆえに「デスボイス+欧州メロディックパワーメタル」と呼ばれるのも納得できるし、音作りの方もだいぶ音に厚みが出てきてマシにはなってきている。

 ただ、肝心の楽曲の方にムラが見受けられる。特に#4,#5,#6といった中盤の捨て曲らしきものがアルバム全体の印象を悪くしていると言えるだろう。アレキシのボーカルはテンポを落とすと相当に表現力が落ちるため、まだまだ未熟としか言いようがないのだ。

 しかし、#7からきちんと持ち直してくれるし、#9のウルトラテクを駆使した楽曲といい序盤と終盤の楽曲はやっぱりチルボドだと納得させる粒ぞろいの楽曲が揃っている。

 トータルで見て地味なんだけど、捨てがたいアルバムという感想。一番最初に聴くアルバムとしたはインパクトが少ないので、入門用には他のアルバムをどうぞ。

 2007.9.6

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Hate Crew Deathroll (2003)

 ヘイト・クルー・デスロール

 

個人的満足度
 ★★★★★★★★★★
メロディ
 ★★★★★★★★★★
パワー  
 ★★★★★★★★★
スピード
 ★★★★★★★★★★
 2003年リリースの4THフルレンス

  本来ならば順番は逆であると思うが、前作は成熟、本作は成長が見られる作品である。

 前作が安易な「ネオクラシカルブラックメタル」の脱却がテーマであったとするなら、本作はそれを踏まえつつ、初期のそれを取り込み、あくまでチルボドが作る「正統派へヴィメタル」の確立がテーマであると思う。

 また、最もメロデスらしいメロデスと言えるのが本作であると思う。

 それの一番の要因となっているのがアレキシの成長。ギタープレイというより、ボーカルの方である。ある意味というかこのバンドの弱点はボーカルだった。なまじアレキシのギタープレイが良いだけにギターだけに専念して欲しい意見があるだろうし、私も同意見だ。

 ただ、そのアレキシの歌唱がかなり表現力豊かになっているから驚きである。正直、今まではデスボイスもどきの域をでなかった絶叫だったのだが、圧力を増し、キャッチーさを持つようになっている。これはボーカルを前に出したサウンドプロダクションによる物も大きいと思うが、この成長は間違いなく評価に値する。

 もちろん、クラシカルな臭みがなくなったとはいえ、キーボードのはじけっぷりも最高だし、なんといっても安定したリズム隊が素晴らしい。特にツービート主軸で前のめりに突っ走る様はハードコアな突進力を演出してくれている。

 楽曲の方は初期のプログレッシブな色合いはカットされ、前作同様ストレートな仕上がりとなっている。へヴィでありながらもコンパクトかつスマートにまとめあげられ、誤解を恐れずに言えばポップでキャッチーですらある聴きやすさがある。

 特に疾走チューンのドライブ感といったらたまらないものがあるし、彼らの作品の中で、最もロックンロールな作品なのではないだろうか。

 楽曲の方は若干ムラがあるのと即効性が高すぎる分、飽きが早いような気がしないでもないが、全体を包み込む鋼鉄感はなんともたくましくて、なんともメタルで、なんともロックである。

 メロディの臭みや大仰さでいったら初期に軍配が上がるだろうが、確かなメジャー感と品質力で誰にもお勧めできる好盤である。

  ちなみに#10"Silent Scream"はSLAYER、#11"Somebody Put Something In My Drink"はRAMONESのカヴァー。前者はキーボードが冴える秀逸なカヴァーなのだが、後者はパンクスからすると時流に乗っているだけでしょ?と思わせるなんだかなーな出来である。

 2007.9.7

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Are You Dead Yet? (2005)

 アー・ユー・デッド・イェット?

 

個人的満足度
 ★★★★★★★★★★
メロディ
 ★★★★★★★★★★
パワー  
 ★★★★★★★★★★
スピード
 ★★★★★★★★★★
 2005年リリースの5THフルレンス

 心境の変化、もしくはバンドの成熟なのかわからないが、今までの作品とは一線を画す音楽性となっている。

 しかし、誤解しないでもらいたいのはあくまで前作の延長線上にある作品だということ。前作で「正統派へヴィメタル」の高みに上り詰めたと共に、メロデスの新しい形を示してくれたかれら。

 本作はもっと普遍的なへヴィメタルなのだ。

 どういうことかというと初期のやけっぱちな勢い先行感、ほのかに揺らめく邪性、シンフォニックでクラシカルなアプローチをほとんど払拭し、泥臭くないメジャー感を持ったメロディックパワーメタルに仕上がっている。

 そう、一聴してわかるようにブラックメタルどころかメロデス臭さをほとんど感じないのだ。アレキシのデスボイスもべっちゃり感がずいぶんなくなり、表現力のほうに重点を置いているようだ。地味で大人しいといったらそれまでだが、作風にあわせた歌唱と言える。

 アレキシのギタープレイは相変わらず変態なのだが、キーボードの方にクラシカルなアプローチがなくなり、Soilwork系の近未来的な世界観をかもし出している。ドラムのブラストも若干大人し気味。

 とまあエクストリームメタル派にはなんとも地味で物足りなく聴こえるのは仕方がないが、楽曲のほうはやはり高品質。冷涼感を持ったイントロから始まる#1やこれぞチルボド節#3は絶品と言える。#2や#4のようなテンポを落とした曲はいわゆるメタルコアチックに仕上がっていて、悪くはない。

 いわゆるメロデス、メロブラを過剰に期待しなければ、「現代最高峰のメロディックパワーメタル+デスボイス」の現在進行形として十分に楽しめる。まあ曲数が少ないうえに、コンパクトにまとまっている、後半の楽曲がややマンネリ、さらにはボーカルが前作と比べると大人しいといった理由から非常に物足りなさを感じてしまうのだが。

 ちなみにボートラの#10.「Oops I Did It Again」はBritney Spears、#11.「Talk Dirty To Me」はPOISONのカヴァー。両方とも原曲を知らない体たらくで申し訳ないが、前者はデスメタルカヴァーではなく女性ボーカルを取り入れたポップなもので、後者は彼らがLAメタルをやったらこんな感じ、といったように原曲をあまり崩さないアプローチをとっているようだ。

 この辺りからも「脱メロデス→普遍的なへヴィメタルバンド」としてのスタイルを提示していると思う。

 出来のほうは原曲を知らないのであまりえらそうなことは言えないが、これまでのカヴァー以上にオマケの域をでないというのが正直なところ。

 2007.9.7

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その他

東京戦心〜トーキョー・ウォーハート  (1999)

 

★★★★★★★★★★

 99年7月7日から14日にかけて、IN FLAMES のサポートアクターとして SINERGY とともに来日を果たす。東京はクラブチッタ川崎にて2公演、大阪にて1公演と、計3公演を廻ったのだが、このうち東京2公演の模様は録音がなされ、同年10月にライブアルバムとしてリリースされた。

 荘厳なイントロから2NDの「SILENT NIGHT, BODOM NIGHT」につないでいくライブアルバム。アレキシのギタープレイの凄さは今更言うまでもないのだが、このライブアルバムだとそれをもろに痛感できる。だって「SILENT NIGHT, BODOM NIGHT」からもう全開なんだし。

 また各メンバーの演奏力、力量についてはまたしても言うまでもないのだが、2ビートを主軸にぶったたかれるブラストビート、ゴリゴリと硬質なグルーヴをみせるベースも忘れちゃならない。

 ライブならでは各メンバーの演奏バトルから繰り出される熱気とオーディエンスの好レスポンスを見ると、ここまでライブの上手いバンドとは思わなかった。スタジオでは出せないテンションの高さもここまでくると魅力的だ。

 「CHILDREN OF BODOM」 や 「RED LIGHT IN MY EYES」 などの人気曲が聴けないといった選曲面の不満はあるけれど、入門用としてお勧めしてもいいくらい良く出来たライブアルバムといえる。

 ああ、普通にライブみたくなってくるね、こういうアルバム聴いちゃうと。売れっ子の割にはそれほど来日していないイメージがあるが、今度来たときはチェックしとこうかな。

 2007.9.7

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