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日本
ハードコアパンク
アーティスト
屍
MAMADA(Ds&cho)ARAI(B&cho)ITAKURA(G&Vo)
公式ホームページ
フルレンス
人のために生きるか 自分のために生きるか(1998)

[収録曲]
1.自滅
2.虚構の現実
3.生業-なりわい-
4.悲観
5.崩れていくもの...
6.所業
7.死ね!
8.人のために生きるか 自分のために生きるか
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[個人的満足度]
★★★★★★★★★★
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| 共感と連帯を呼ぶのがパンク/ハードコアだと言うのなら屍は究極のハードコアであり、生身のロック。だから私は大好きなのだ、屍というバンドが。
本作は1998年リリースの1STフルレンス。はっきり言って日本のハードコア史上に残るド名盤だと思うし、本当は「最高!!」の一言で済ませてしまいたい。だが、少しでもこのバンドの魅力が伝わるというのであれば喜んで駄文を書かせて頂こう。
さて、彼らの音楽性はグラインドコア/ファストコアの性格が強く、コンパクトに走り抜けて燃え尽きるその姿は疾走感というよりは、まさにハードコアの死に急ぐバタバタとした性急感。それはまるで自らの肉体の損傷を省みずに奈落の底へと駆けていくが如きだ。
さらに言ってしまえば、ブラスト・ビートを多用したスタイルは日本のグラインドコア最重要バンドS.O.Bにも近く、ゴミみたいな小手先の整合感をありがたがる良識派の顔を苦痛に歪めるような勢い先行の演奏陣はまるで魔性に魅入られているかのようだ。そこから搾り出されるメロディとリフは邪気を帯び、ささくれだっていてブラック・メタル的ですらある。そんなわけで音楽性だけとってみればあえてCELTIC
FROST meets S.O.Bとも揶揄できるのかもしれないが、そんなつまらん形容はいらない。唯一無二、絶対的孤高、それが屍。
そして、このバンドの一番の特徴は歌詞だろう。日本語の力を生かした恨み節ともとれるこの世の不条理に対する憤り、苦悩、不安、絶望。その全てを託したリリックはこちらの胸を鋭くえぐり、病的なまでにキャッチー。それを悲痛な絶叫で彩るヴォーカルの生々しさが素敵だ。特に「生業-なりわい-」、「崩れていくもの...」あたりの楽曲はライヴで大合唱やモッシュどころか死人が出そうな勢いである。
一方では楽曲は機能性に優れ、キャッチーなのだ。一緒に口ずさむというよりは一緒に叫ぶと言った方が正しいが。収録されている楽曲は全曲名曲。確定。スラッジーな味わいを加味して絶望感を強めた次作も究極ド名盤だが、ライヴ映えするのは間違いなくこちらに収録されている楽曲だろう。
物質的な豊かさを手に入れたと同時に本当に大切なものを失くした日本でしか生まれない情念にまみれた、いや、情念そのもののハードコア。あまりの悲しみに、あまりの苦しみに、やりきれなくなる。悩みの無い人間などこの世にいないというのであれば、全ての人間の心の中に屍はきっといる。日本という生き地獄でリアルに叫び続ける彼らを一生応援し続けたい。
2008.2.13 |
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しかばね (2002)

[収録曲]
1.灰骨
2.消えてほしいものが消えてくれない
3.ニヒリズム
4.離れていく...
5.精神的バランスの崩壊-前向きに生きようとする自分とそれを妨害する自分-
6.今この苦しみどうしてくれる?
7.磔 (はりつけ)
8.行きつくところ |
[個人的満足度]
★★★★★★★★★★
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| 約4年ぶりにリリースされた待ちに待った2NDフルレンスなのだが、期待通り、いや期待以上だ。これだから彼らのファンであることをやめられない。
音楽性自体は1STのそれとはかなり違っていて、ファストコア的なものからブラック・メタル由来の暗黒旋律をよりフィーチュアし、アコースティックな楽曲もあり、長尺曲もありと全体的にバリエーションを広げているのも特徴的だ。
ファスト・チューンが減ったのは確かに残念ではあるが、スラッジィ&ドゥーミーに沈み込む鬱パートとの緩急が増していて、その味わい深さは大幅にアップ。彼らの個性を際立たせるベスト・スパイスとなっている。
そして、脱帽したのは楽曲のクオリティ。捨て曲など存在せず、全て名曲だ。アンビエントなイントロから痛々しく雪崩れ込むリーダー・トラック「灰骨」、初期の流れを汲むファストコアチューンで、マジもんの絶叫を見せる「消えてほしいものが消えてくれない」、どうせ人は裏切ると至極真っ当なことを叫ぶフォーキーな「離れていく...」、煉獄の炎に身を焦がしながら爆走する「ニヒリズム」、あまりにダークなメランコリック・パートとファスト・パートに悶絶させられる「精神的バランスの崩壊-前向きに生きようとする自分とそれを妨害する自分-」、ストレートなファスト・ブラックコア「今この苦しみどうしてくれる?」、前に進みたくとも進めない世の中を不条理さを歌い、彼らの本領が発揮された「磔 (はりつけ)」、10分にも及ぶ大作でクライマックスのアコースティック・パートに涙が止まらなくなる「行きつくところ」...。
その全てが名演であり、名曲。歌詞と音楽性と佇まい、その全てが好きなバンドは少ないのだが、それらの要素を全て持ったバンドがこの屍なのだ。
ちなみに上記のジャケアートは再発されたアナログ盤のもので、オリジナル盤の方は恨みつらみをそのまま吐き出したかのような文章がびっしりと書かれたファンタスティックなもの。願わくばそのアートワークのままCDで再発してもらいたい。全てのハードコア好き、いや、リアルなロック好きに聴いてもらいたい名盤なのだから。
最後はそのジャケアートに描かれた言葉を引用して、これを読んでいる貴方に問いたい。「結局はこの現実に苦しむだけ苦しんでズタズタになって死んでいくしかないのでしょうか?」
2008.2.15 |
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シングル
自我と煩悩 (2000)

[収録曲]
1.憎悪
2.繰り返し...そしてまたその繰り返し...
3.自我と煩悩
4.人のために生きるか 自分のために生きるか |
[個人的満足度]
★★★★★★★★★★
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| 2000年リリースの2NDシングル。CDにはライブで録音されたメドレー形式のボーナス・トラック「人間に生まるること難し・・・〜核心−死−」が追加されている。
あまりフルアルバムをぽんぽん出さないタイプのバンドなのでこういうシングルは貴重だ。しかも、全曲名曲という恐ろしいクオリティの高さ。バンド名からイロモノに見られがちなバンドだと思うが、彼らの最大の魅力というのは憎しみの炎にその身を焦がす痛々しさと職人気質で練りこまれた楽曲の良さが同時に存在しているということだと思う。
もちろん、練りこんだといっても机を前に一生懸命考えましたなんていうお上品なものではなく、ライヴ録音したかのような生々しさがあるのだ。それが世に横行している甘ちゃんへヴィ(じゃない)メタル、ハード(じゃない)ロックバンドとの徹底的な差だろう。あくまでも枠に収まりきらないロック然とした破天荒なパワーが彼らの魅力なのだ。
さて、もうそろそろ個々の楽曲に触れてみようか。まず1曲目の「憎悪」。いきなりぶっ殺された。キラー・チューンなんてもんじゃねえ。ジェノサイド・チューンだ。お経のようなイントロから雪崩れ込むのはファスト・ブラック的なドグサレ・ハードコア。憎悪ぶちまける狂乱ヴォーカルといい、退廃メロをにじませるリフメロといい絶品。最強だ。
続く「繰り返し...そしてまたその繰り返し...」は痛々しく絶叫するヴォーカル、ミドル・パートとファスト・パートを組み合わせたメラメラと燃焼するモッシーなハードコア・チューン。ライヴでさぞかし盛り上がることだろう。
お待ちかねのタイトル・チューン「自我と煩悩」はファスト・チューン。「間違いないっ!」と繰り返し絶叫する鬼気迫るヴォーカルの魔闘気と絶望的なメロディが渦巻くド名曲だ。
4曲目の「人のために生きるか 自分のために生きるか」は1STアルバムのラストに収録されていた楽曲だが、音質とバンドの技量の成長により整合感が大幅にアップ。元々ブラック・メタリックな要素が色濃い曲だったが、それをさらに強めた素晴らしい仕上がり。ファンには嬉しい限りだ。
ラストはCDにボーナス・トラックとして収録された「人間に生まるること難し・・・〜核心−死−」。今では入手困難な初期の楽曲のメドレーというのがポイント。音質の悪さが凶暴性を加速させているのが恐ろしい。
そんなわけで全世界のブラック・メタル/ハードコア愛好家必聴の一枚だし、現時点では一番手に入りやすい音源なので、このレビューを読んで興味を持ってくれた方は是非手にとってみて欲しい。
2008.2.14 |
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