| 前作のツアー後、リズム隊がメンバーチェンジ。ドラマーがウリからトーマス・ナックに、ベーシストがウヴェからヤン・ルバックという元ANASTHASIA組が加入する。(ウリは後にHELLOWEENに加入)
本作は1993年にリリースされた3RDフルレンス。プロデュースはカイとダークの2人が携わっている。
HELLOWEENと共にジャーマン・メタル二大巨頭が一つ、GAMMA
RAYのリーダーと言えば言わずもがなジャーマン・メタル・ゴッド、カイ・ハンセン。当然、作曲面も彼の名前がクレジットに多く並ぶのだが、本作から他のメンバーも積極的に曲作りに参加しているのが特徴的である。
なんでもアルバムの構成も前半はカイ、中間にジャーマン・プログレッシヴ・バンド、BIRTH
CONTROLのカヴァー(「GAMMA
RAY」)を挟みつつ、後半は他メンバー作曲による楽曲に分けられているそうだ。HELLOWEEN時代からどちらかというと独裁的だったカイ・ハンセンからすると新しいエナジーを十分に取り込んでより良いものを作ろうとする姿勢が垣間見える。
前作ではメロ・パワではない正統派HEAVY METALを示し、本作ではBIRTH
CONTROLの「GAMMA RAY」のカヴァーを示す。それが何を意味するのか。自らのルーツを再び省みることによって一区切りをつけ、新しいスタートを切ろうとするカイ・ハンセンのチャレンジ・スピリットではないだろうか。
そういう前向きな志向もあってか本作もどこかジャーマン・メタル、メロ・パワとは若干距離を置いた作風になっているのは間違いないだろう。
しかし、前作の作風が少し残念だった方は安心して欲しい。カイ・ハンセンは何のゴッドか?ジャーマン・メタル・ゴッドである!!
勇ましく臭いメロディは復活し、へヴィで、スピーディーで、激パワフルなメタルをここでは提示。そう、ここにあるのはパワーメタル以外の何者でもないのだ。
楽曲のわかりやすさと即効性は前作以上でリーダー・トラックの1.TRIBUTE
TO THE PASTから極上のパワーメタルを炸裂させてくれるのが嬉しい限りだ。これはクサメロと重厚なへヴィネスを乗せ、砂塵を巻き上げつつ突進する名曲である。
続く2.NO RETURNは歌メロが優れているし、ガッツィなリフで特攻する3.LAST
BEFORE THE STORM、徐々に盛り上がる4.THE
CAVE PRINCIPLE、シアトリカルに爆走する5.FUTURE
MADHOUSE(曲名に納得)といったカイが担当した前半の楽曲はどれもキラー揃い、粒揃いだ。
後半からはリズム隊二人が手がけたどこかエスニック風味のあるタイトル・チューン7.INSANITY
AND GENIUSから始まるが、曲ムラがあるのが難点。まあバンド加入したてということも考えれば十分善戦しているだろうし、9.YOUR
TORN IS OVERで聴ける頭の悪いコーラス、シュレヒターの高いポテンシャルが垣間見える10.HEAL
ME(クライマックスではシアトリカルかつオペラティックな展開から雪崩れ込むソロの妙技)は中々のものだ。
また、ラストの11.BROTHERSもメロウながらもMANOWARに通ずる暑苦しさを誇っていて素敵だ。
相変わらずラルフの歌唱は素晴らしいし、ジャーマン・メタル・ゴッドの本領発揮と称えたい良盤である。真のパワー・メタルここにあり。
2007.12. |