| オリジナル・ベーシストを解雇し、 RED
HOT CHILI PEPPERS の FREE を迎えて本作を制作。2003年5月25日、
Jeremy Michael Ward が他界してしまうが、バンドはそれを乗り越えついに本作はリリースされた。
元 AT THE DRIVE-IN の中心メンバーだったCedricと
Omar 。そのアフロ組二人に名ドラマーとFREE
( RED HOT CHILI PEPPERS ) まで加わった人によっては夢のようなオールスターバンド、THE
MARS VOLTAのデビュー作が本作である。
実はずいぶん前から聴いていたのにも関わらず、結構長い間食わず嫌いしていたこのバンド。だって、プログレって基本的に苦手なんだもん。曲は長いし、複雑でキャッチーじゃなくて頭でっかちで評論家がしたり顔でコメントしたりさあ。その凝り固まった雰囲気、空気そのものが苦手だった。
しかし、このバンドの凄いところはそんな些事を跡形もなく吹き飛ばす有無を言わさぬインパクトがあるということ。好きか嫌いかは置いといてこのアルバムを聴いて「なんだか凄い」と思わない人間はいないはずだ。
さて、内容の方に触れよう。音楽性の方は一言で言ってしまえばエモーショナル・プログレッシヴ・ロック。さらに簡単に言えばAT
THE DRIVE-IN meets RUSH。
まあそれは冗談。こんなつまらない揶揄で終わらないのがこのバンド。前述したように私のような評論家でもない人間が聴けば「なんだか良くわからないが、凄いバンドだぞ」。そう思わせる魅力、いや、彼らの場合魔力と言った方が近いか。
Cedricのハイトーンヴォーカルはここでも健在。そのあふれ出す感情がラップという手法によって躍動し、緩急を使った歌唱はこの界隈でも一級品。素晴らしい歌い手である。
Omarのトリッキーながらもエモーショナルなギタープレイは最高だ。決してシンプルではないし、わかりやすくもない。それでも何故かキャッチーなメロを奏でる様はまるで夢の中にでもいるようだ。
FREEの肉厚なベースプレイも欠かせないし、なんといってもドラム。このリズム隊が無ければTHE
MARS VOLTAであらず。そういっても言いすぎではない。
彼らはエルパソで様々な苦労をしてきたという。エルパソがどんな所かだなんていうのは他のサイトで紹介しているだろうし、そこへ行ったことのない私が語るのはそもそもおかしいのかもしれない。
しかし、これほどまでに真っ直ぐな生命力を感じる音はそうはない。彼らの生き様がそのまま投影されているかのような生きた音。彼らの鼓動、息遣い。全てが聴こえてきそうな生々しい音。それはエルパソという地と血が成せる創造。
これは、彼らのルーツであるラテン音楽の哀愁を取り込んだ生身のロック。やれサウンドエフェクトがどうとか、プログレがどうとか、もはや関係ない。
パンク、メタル、プログレ、エクスペリメンタル、エモ....。何もかも飲み込んで、この世の不条理を全て背負ったかのような立ち振る舞いは何よりも尊い。
曲の一分一秒がこれほどまでに意味を持つバンドは希少だ。ロックをアートと呼ぶならば、このバンドはまさにアーティストだ。
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