| 2006年6月、バンドは1stフル・アルバムのリリースのためMETAL
BLADE RECORDSと契約を交わす。そして地元アリゾナはフェニックスにあるBlue
Light Audio Mediaにて、コリー・スポッツがプロデュースし、アンディ・スニープがミックスした本作"Genesis"が完成した。
ジャンル「デス・コア」を全世界に普及させる最重要バンド、驚愕の1stアルバム登場・・・
たった6曲入りのEPだけでMySpaceでのトータル・プレイ数700万越えを記録した前代未聞の大型新人の登場だ。
なーんてなんとも大層なキャッチコピーがついたバンドだが、メディアの戯言はまだまだこんなものじゃない。
"Metal's Most Important Troops
For 2007(2007年のメタルで最も重要なバンド"(Metal
Hammer)、"Hottest Guitar Bands
of 2007(2007年で一番ホットなギター・バンド"(Total
Guitar)、"Bands you Need to
know in 2007(2007年に知っておくべきバンド)"(Alternative
Press)と紹介されたりしている。
はっきりいってこのメディアのハイプぶりはどうかと思うが、内容はまあ確かに新人にしては安定はしている。
EPの方は「デス・コア」とか呼んでるデス+グラインドのような音楽性だったらしいが、本作ではほぼ正統的なデスメタルへとシフトしている。
どんな心変わりがあったのかは知らない。ここにあるのはMORBID ANGELなど正統派US産ブルータルデスの流れを汲む、至極まっとうなデスメタルである。
以上、終わり。というのは冗談だが、本当に語るところの少ないバンドであり、本当になーんてことはない。普通のデスメタルバンド。ふっつうーの。ノーマルデスメタル。王道の中の王道。ロープレで言えばドラクエ。
あえて、特徴を語るならバンドの性格自体はギターを中心にしたテクニカルなバンドで、ギタープレイ自体は#9以外にあまりメロディを感じさせない無機質さは硬派一徹だ。ようするに北欧メロデス好きでUS産が苦手という方は手を出さない方が無難ってこと。あくまでもUS産を地でいっているからね。
ヴォーカルはゲヴォゲヴォな下水声ではなく、わりかしマイルドな重低音デスボイスで聴きやすい部類に入る。たまに高音絶叫デスボイスが担当がコーラスに入りアクセントをつけようと努力している。ただ、表現力がどうのこうのみたいな器用なタイプではないようだ。
ドラミングはイキの良いブラストを叩いているが、猛者ぞろいの他の名デスドラマーと比べるとそれほど馬力は感じない。Total
Guitar曰く2007年で一番ホットなギター・バンドだからなのか知らないが、ギターと比べるとあまり目立たない気がする。
曲自体は非常にコンパクトでアルバム一枚があっという間。人によっては淡白すぎて物足りなく感じるかもしれない。もしかしてグラインドコアの要素はこの曲の短さにあるのか。
曲のテンポはそれほど速くなく、スピード狂には向かないが、曲のコンパクトさと相まって最近のデスメタルバンドの中でもわかりやすく聴きやすいとは思う。
ただ、肝心の楽曲の方は耳に残らない曲が多く、なんだかすごい雰囲気や格好よさは伝わってくるものの、この辺りの練りの甘さはまだまだぽっと出の新人ゆえか。それゆえ耳の肥えたデスメタラーに大きなインパクトを与えるような曲は正直見受けられなかった。
アルバムを最後まで聴いて思ったが、ジャケットのアートワークほど凶暴じゃないんだよな、これが(笑)。アウトローというよりはやっぱりエリートっていうイメージの方がしっくりくる。#9の邪気がもっと内面で消化できれば、化けるかもしれない....。
ちなみにこのバンド、インストを入れるのが好きなようだが、そのインストが中々センスが良いので、飛ばさずに是非聴いてみてもらいたい。所詮はただのインストって言われてしまえばそこまでなのが悲しいところではあるが。
今流行の北欧メロデスにあえて背を向け、よりブルータルに、よりへヴィに曲を作り上げる様は非常に好感が持てる。このメディアのハイプぶりに過剰に期待すると肩透かしを食らうだろうが、とりあえず優良新人であることは間違いない。例によって面白みとか新鮮味とかは感じないんだけどね。
2007.9.29 |