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洋楽 UK

へヴィメタル

アーティスト

 JUDAS PRIEST

 

 ボブ・ディラン の曲名から取ったというバンド名、Judas Priest(ユダの僧侶)を冠するこのバンドは英国はバーミンガムで70年に結成された。K.K. Downing(g) と Ian Hill(b) の2人を中心に結成したバンドが前身にあたる。当時は アル・アトキンス がヴォーカルをつとめていたが、72年に脱退。後任に Rob Halford が加入、更にドラマーも入れ替わりが激しかったが、 John Hinch に取りあえず落ち着く。 彼らは国内のツアーをしながら、デッカ 傘下の ガル・レコード とのディールを獲得する。その後レーベルからの推薦もあって FLYING HAT BAND に在籍していた Glen Tipton を加入させて1STアルバム製作の体勢を整える。

フルレンス

     アルバム             個人的満足度               

ROCKA ROLLA (1974)

 Rocka Rolla

 

1.ONE FOR THE ROAD
2.ROCKA ROLLA(YOU TUBE)
3.WINTER
4.DEEP FREEZE
5.WINTER RETREAT
6.CHEATER
7.NEVER SATISFIED
8.RUN OF THE MILL
9.DYING TO MEET YOU
10.CAVIAR AND METHS

個人的満足度
 ★★★★★★★★★

 ガル・レコード よりリリースされた1STフルレンス。プロデュースしているのは BLACK SABBATH などの仕事で知られるロジャー・ベイン
 真意を掴みかねるコカ・コーラ風ジャケで有名なメタルゴッドの1STが本作ということで、初めて聴いた時はそのあまりな普通っぷりに驚いたものだった。
 その作風は重くて湿気たっぷりないかにも普通〜な英国ハードロック。スロー〜ミドルテンポの楽曲は良く言えば渋い、悪く言えば地味。ていうか地味すぎ。名盤と名高い次作を聴いた後だとその地味な普通っぷりに面食らいまくりのファンもいたのではないだろうか。
 それでもGlen Tipton によるタイトル・チューン2.ROCKA ROLLAは中々のリフを持った佳曲だし、メロウな展開が挟まれる5.WINTER RETREATRob Halford がハーモニカを操る6.CHEATER、英国ハードネスを体現する7.NEVER SATISFIED9.DYING TO MEET YOUといったそれなりの楽曲は存在するのも確かではあるが。
 私はブリティッシュ・ビートや60年代ガレージが好きなので、割かしこういうのも嫌いではない。LED ZEPPELIN はもちろん、個人的にはDr.FeelgoodKinksなどの古き良き英国ロックバンドを思い出したりもした。
 ただ、肝心の楽曲に面白みがあるかと聴かれたらそれは微妙。8.RUN OF THE MILLのような長尺曲もダラダラとしていて、全体的なテンションを下げるぬるい要因になっている。というわけでぶっちゃけ全体的な曲質は中の下というか、彼らのアルバムの中で入門用には恐ろしく向かないというのは間違いないだろう。
 メンバー自身も次作をデビュー作としたいようだし、まさにメタルゴッドの若気の至り。彼らの大ファンだとしても一番最後に聴くべきアルバムだろう。

 2007.11.19

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SAD WINGS OF DESTINY (1976)

 運命の翼

 

1.VICTIM OF CHANGES
2.THE RIPPER(You Tube)
3.DREAMER DECEIVER
4.DECEIVER
5.PRERUDE
6.TYRANT
7.GENOCIDE
8.EPITAPH
9.ISLAND OF DOMINATION

個人的満足度
 ★★★★★★★★★

 前作でのアルバムデビュー後、翌年75年には レディング・フェスティバル にも出場するなどしてバンドはツアーをこなしていくが、ここでドラムの ジョン が脱退。バンドはもともとのオリジナルメンバーであった Alan Moore を再び迎えることにする。そして、この頃 ガルレコード とギャラの問題で裁判沙汰へと発展。その後レーベルを離れた彼等はメジャーの CBS とのディールを結ぶ。本作は2NDアルバムにして、彼等のメジャーデビュー作となった。
 彼らの初期の名盤と名高い本作は前作の安っぽい英国ハード・ロックから一歩抜きん出たサウンドを鳴らせている。とはいってもその音楽性自体は前作の延長線上。つまり未だHEAVY METALと呼んでいいか微妙なブルースが根っ子にある相変わらずの英国ハード・ロック。
 それでも本作が名盤と呼ばれるのはその楽曲の品質の高さである。個人的にはリーダートラックの1.VICTIM OF CHANGESが長ったらしくてアレだが、初期の彼らを代表する名曲2.THE RIPPERがあるのが大きい。大きすぎる。言わずもがな"ジャック・ザ・リパー" こと殺人鬼 "切り裂きジャック" を曲名に冠するこの曲で聴けるRob Halfordの金切りスクリームが現代HEAVY METALの原点といっても過言ではないはず。不穏な空気に満ちたソロ・パートも美しい。
 さらにはRob Halfordの歌唱力を生かした美しいバラード3.DREAMER DECEIVER、渋みと臭みを湛えたハード・ロックチューン4.DECEIVER(クライマックスのアコースティック・パートは秀逸!!)といった楽曲や、ゴシカル&ドラマティックなインスト5.PRERUDEから前作のタイトル・チューン2.ROCKA ROLLAをHEAVY METAL寄りにしたかのような6.TYRANTへの展開も後のメタル・ゴッドとしての姿が見えてくる曲ではないだろうか。
 また、6.TYRANTと共にHEAVY METAL寄りな7.GENOCIDE(今でもライブで選曲されているようだ)、ピアノを大胆にフィーチュアした美麗過ぎるバラード8.EPITAPHも秀逸だ。実はこの曲は2.THE RIPPERの次に好きかもしれない。この曲から繋がるラストの9.ISLAND OF DOMINATIONもHEAVY METALの原型と言っても過言ではないだろう。
 まだまだ、LED ZEPPELINの影響下にある湿り気英国ハード・ロックをやっている感は否めないが、後のメタル・ゴッドの風格や威厳が漂い出したアルバムといえる傑作であり、素晴らしすぎるジャケ・アートを含めて恐ろしく耽美(珍味)な一枚だ。

 2007.11.20

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SIN AFTER SIN (1977)

 背信の門

 

1.SINNER(You Tube)
2.DIAMONDS AND RUST
3.STARBREAKER
4.LAST ROSE OF SUMMER
5.LET US PREY
6.CALL FOR THE PRIEST/RAW DEAL
7.HERE COME THE TEARS
8.DISSIDENT AGGRESSOR

個人的満足度
 ★★★★★★★★

 前作で加入した Alan Moore が再び脱退。バンドはドラマーの座が不安定な状態だったが、そのままアルバム製作に入る。最終的にはセッションドラマーの Simon Phillips を呼んでのスタジオ作業となる。
 そして、リリース頃には レス・ビンクス が正式な後任として決定。本作はプロデューサーは DEEP PURPLE 在籍時にはエンジニアとしても活躍した Roger Glover が担当。本作は1977年にリリースされた3RDフルレンス。
 前作の収録曲「GENOCIDE」 の曲中に「Sin after sin I have endured...」 という呟きがあるが、本作のアルバム・タイトルはそこから由来しているらしい。
 また、ジャケ・アートも前作の流れを汲むような美しさであり、本作は名盤である「SAD WINGS OF DESTINY」からの良い意味での延長線上にある作風と言える。
 えー、またかよと思うかもしれないし、次作で完全なるメタル・ゴッドとして覚醒を迎える彼らの姿からすると地味に映るかもしれない。いくらブルース色が薄まってアグレッシヴな攻撃性が増したとはいえ、全体的なイメージで言えばまだまだHEAVY METALというよりはハードロックと言った方が正しいだろう。
 しかし、個人的にはこのアルバムは楽曲単位で言えば初期3枚の中で彼らの最高傑作であるとすら感じた。
 リーダー・トラックの名曲1.SINNERに始まり、ギターが物悲しげに泣く2.DIAMONDS AND RUST(フォーク・ミュージシャン、ジョン・バエズ のカヴァー)、その精神性はACCEPTなどのストイック・メタルバンドに通ずる高いHEAVY METAL強度を持つ3.STARBREAKER、透明感を強めたバラード4.LAST ROSE OF SUMMERといった序盤の畳み掛けが凄まじい。注目すべきは2.DIAMONDS AND RUSTで、カヴァー曲がアルバム屈指の名曲であるというのも面白い。
 そして、アルバムのハイライトはやはり名曲5.LET US PREY。ポップなメロディ、天に駆け上がるかのような疾走感、ドラマティックな曲展開など、まさに早過ぎたメロディック・パワー・メタルと言える曲だ。
 また、Rob Halfordが慟哭する枯れ葉舞い散るがごとき渋いバラード7.HERE COME THE TEARSも秀逸であるし、高熱スクリームで神っぷりをアピールするラストの8.DISSIDENT AGGRESSORはもうHEAVY METALと断言してしまいたい名曲。
 彼らの体内でメタル・ゴッドが目を覚まし始めたと言って過言では無いだろうし、彼らの傑作の一つである次作「STAINED CLASS」はこのアルバム無くして作られなかったであろうグレイトな一枚だ。あと、何度も言うが、相変わらずジャケ・アートも素敵過ぎ。

 2007.11.21

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STAINED CLASS (1978)

 ステンド・クラス(紙ジャケット仕様)

 

1.EXICITER(YOU TUBE)
2.WHITE HEAT,RED HOT
3.BETTER BY YOU,BETTER THAN ME
4.STAINED CLASS
5.INVADER
6.SAINTS IN HELL
7.SAVAGE
8.BEYOND THE REALM OF DEATH
9.HEROS END

個人的満足度
 ★★★★★★★★★★

 前作リリースよりわずか一年以内にリリースされた4THフルレンス。前作リリース同年の12月からスタジオインし、2月には既に発売を迎えていたという。
 リリースされたのは1978年。IRON MAIDENの1STがこの2年後にリリースされるという事実からもこのアルバムの重要性が窺えるだろう。ついにメタル・ゴッドは完全なる覚醒を迎えたのだ。もちろん、Rob Halfordの歌唱力と美しい叙情派ツイン・ギターを生かしたストレートな英国ハード・ロックも悪くなかったが、ことさらHEAVY METAL観点での話となるとまた話が違ってくる。前作のジャケ・アートに描かれた扉の向こうにはこんなにも素晴らしく、甘美な世界が待っていたのだ。
 このアルバムに収録されている楽曲は全て名曲と言ってしまって過言ではないが、なんといってもリーダー・トラックの1.EXICITERと「死の国の彼方に」 という邦題で有名な8.BEYOND THE REALM OF DEATHという二つの超名曲が大きな支柱になっていることは間違いない。
 前者はもはや説明不要のハード&へヴィ&ファスト&ストロング。そして、最高にメタリックな玉砕チューン。「エキッサイタアアアア!!」と叫ぶRob Halfordのトチ狂いっぷりや3分後半からのドラマティックな展開はどうだ!!まさにキングオブメタルチューン。これを78年にやってしまうのだからいかにこのバンドがゴッドと呼ばれているかわかるはず。
 対して後者はキングオブドラマティック・ナンバー。「鉄壁」と称されるK.K. DowningGlen Tipton のツイン・リード・ギターが泣きに泣きを重ねる叙情派ド名曲。「劇的」という言葉はこの曲にこそ相応しい。
 また、その他の楽曲もすこぶるクオリティが高く、メタル・ゴッドの神通力を発揮しまくりなのだから恐ろしい。疾走感溢れる2.WHITE HEAT,RED HOT5.INVADERといったあまりにもメタリックな楽曲やメロディと攻撃性に優れたタイトル・チューン4.STAINED CLASSも最高な名曲だ。
 また、Rob Halfordの灼熱スクリームに導かれて始まる7.SAVAGE、前々作収録の名曲2.THE RIPPERにも通ずる不穏なリフが特徴的な9.HEROS END といったように優れた楽曲を挙げればキリがない。
 ちなみに、先行シングルにもなった3.BETTER BY YOU,BETTER THAN MESPOOKY TOOTHのカヴァーで、高いアレンジ力で完全に自分達のものとしてしまっている名曲だ。この曲は本作より5年以上も後になってネヴァダ州での少年発砲自殺事件のきかっけとして裁判沙汰になった曲として有名。
 それは本作を一日中聴いたファンの少年2名がショットガンで自殺をはかったという事件だが、なんと親側がバンド相手に控訴を起こす。結果は当然無罪だったのだが、実際の自殺の原因が崩壊した家庭環境やドラッグだという。バンドのみならず、我々ファンにはなんとも憤りを隠せない事件だ。
 本作には初期にあった中性的なイメージや「やわさ」はほとんど払拭され、その孤高なまでのバンドの立ち位置はスタッズとチェーンを身に着ける次作で完全に固められる。しかし、何度も言うがメタル・ゴッドの伝説はここから始まったのだ。リリース当初はお粗末なサウンド・プロダクションが唯一の欠点とされていたが、最近のリマスターによりその辺りはちょっぴりはマシにはなっている。良い時代になったものだ。
 また、SLAYERケリー・キングがお気に入りの一枚として挙げていることにも注目したい。

 2007.11.22

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KILLING MACHIINE (1978)

 殺人機械

 

1.DELIVERING THE GOODS
2.ROCK FOEVER
3.EVENING STAR
4.HELL BENT FOR LEATHER(YOU TUBE)
5.TAKE ON THE WORLD
6.BURNIN' UP
7.THE GREEN MANALISHI
8.KILLING MACHINE
9.RUNNING WILD
10.BEFORE THE DAWN(YOU TUBE)
11.EVIL FANTASIES

個人的満足度
 ★★★★★★★★

 78年、前作リリース後、彼等はイギリス、アメリカをサーキット後、初来日を果たす。ツアーを終えた彼等はさっそくアルバム製作に入り、年内10月には早くも5THフルレンスをリリースする。プロデュースには前作で先行シングルも手がけた ジェイムズ・ガスリー
 前作でのアメリカツアーで寄ったSMショップのファッションにインスパイアされたバンドはその要素をコスチュームに取り入れる。そう、いわゆる80年代のへヴィメタ(あんまり言いたくないが)ファッションは彼らのアイディアがルーツであるというのがあまりに有名な話。
 バンドは今までのヒラヒラ、フリフリのなよったコスチュームを捨て、レザー&スタッドで武装。アーティスティックなジャケ・アートもより硬質化し、装いを新たに放たれた一発目が本作「KILLING MACHINE」、邦題にして「殺人機械」というあんまりな厳つさを誇っている。
 殺伐としたアルバム・タイトルからもわかるように本作は前作で確立された感のあるJP流HEAVY METAL路線を押し進め、間口を広げたような印象を受ける作風になっている。
 ただ、無慈悲なアルバム・タイトルの割には前作収録の名曲「EXICITER」クラスの剛力疾走チューンは存在しないし、アルバム全体のイメージはキリングというよりはポップ。コンパクトかつスマートにまとまった楽曲は彼ら特有のポップ・センスにより味付けされていて派手さはないものの、楽曲はかなり粒が揃っている。
 ファンの間で人気の高いクラシカルなギタープレイも見られる名曲4.HELL BENT FOR LEATHER、もはやお馴染みの美しいバラード10.BEFORE THE DAWNを主軸にしつつ、1.DELIVERING THE GOODS2.ROCK FOEVER、もしくは欧州ならではの叙情性を湛え、メロディアスな3.EVENING STAR
 さらには合唱コーラスも搭載したキャッチーな5.TAKE ON THE WORLD、ライブの定番曲7.THE GREEN MANALISHI(FLEETWOOD MACのカヴァー)といったように優れた良曲、佳曲は意外にたんまり。
 総合的に見れば正直、「STAINED CLASS」と「BRITISH STEEL」という傑作2枚に挟まれているせいか地味で小粒な印象を受けなくもない。だが、ポップでわかりやすい楽曲が詰まった好盤ではあると思う。

 2007.11.23

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BRITHISH STEEL (1980)

 ブリティッシュ・スティール

 

1.BREAKING THE LAW(YOU TUBE)
2.RAPID FIRE
3.METAL GODS
4.GRINDER
5.UNITED
6.LIVING AFTER MIDNIGHT
7.YOU DON'T HAVE TO BE OLD TO BE WISE
8.THE RAGE
9.STEELER

個人的満足度
 ★★★★★★★★

 前作をリリース後、翌79年に彼等は再び来日。そのうち東京での2公演が録音され、ライブアルバム 「PRIEST IN THE EAST」 としてリリースされる。ここでドラマーを Dave Holland に変更。陣営も新たにアルバムの製作は開始されたが、途中マスターテープが盗まれ、5万ポンドもの身代金と引き替えにされるといった事件も発生。
 そして、80年には6THフルレンスとして本作がリリースされた。プロデュースにはNWOBHMバンドなどを手がけていた Tom Allom
 「カミソリ」。このアルバムはジャケ・アートに描かれたカミソリの如き切れ味を持つアルバムと称されることが多い。全くその通り。私はあえて元大洋ホエールズのエース、平松 政次の「カミソリシュート」並の威力を持ったアルバムと賞賛しよう。その切れ味は右打者のバットを根元からへし折るのだ。
 また、Judas Priestのアルバム史上、最もパンク色の強いアルバムの一つと言える。ハードロック特有のエキサイティングなギターソロの減少、バラードと長尺曲のカット。無駄を省き、楽曲は前作以上にコンパクト&シンプルなものにまとまっている。
 常に抜かれた日本刀のような危険さと無駄の無い美しさ。また、良い音楽に大袈裟な装飾は必要ないという志向はまさにパンクそのもの。こう言ってしまうと嫌な顔をするとメタラーさんもいるかもしれないが、初期IRON MAIDENのわかりやすい攻撃性はパンクそのものだったし、やはりパンクとメタルは同じ大地を踏みしめる音楽なんだなとこの作品を聴いた時は再確認したものだった。
 そもそもパンクは既存のハードロックへの反抗だったのに対し、メタルが時流だったパンクへの反抗だったというのは疑いの無い事実。パンクとメタルはその時代の体制への反逆によって生まれたほとんど兄弟のようなもの。「パンクとメタルは根本的に違う」なんていう議論はくだらないし、「両方とも優れた反骨音楽」。それでいいじゃないですか。
 おっと、話が逸れてしまったが、本作の話に戻ろう。本作収録の楽曲はかなり飾り気のない無骨なもの。そういった内容から泣きのギターを良しとする初期のファンにはえらい物足りないものなのかもしれない。
 だが、逆に表面に出てきたのがそのシンプルさゆえに生きるリフによる構築美であり、強靭な鋼鉄により組み上げられたロックとしての破天荒なパワーである。それは3.METAL GODSで高々と叫ばれることでおわかりであろう。
 また、パンキッシュな1.BREAKING THE LAWMOTORHEADを彷彿させる突進力を持つ2.RAPID FIRE、哀感を誘うポップ・メタル・チューン5.UNITED、同じくポップながらも血が滾るパワーメタル・チューン6.LIVING AFTER MIDNIGHT(英国ヒットチャート10位以内にランクイン)、性急感溢れる9.STEELER などの楽曲もこの上なくパワーメタリックでクールだ。
 今まで以上にシンプルで、アグレッシヴで、ハイ・スピードな疾走チューンなど無くとも凄まじい体感速度を誇るアルバム。それが「BRITISH STEEL」という作品ではないだろうか。そう、色気など無くとも我らがメタル・ゴッドには強烈無比な漢気があるのだ。 
 そして、アルバムトータルでなんと30分ちょっと。なんとも素敵で痛快じゃないですか。

 2007.11.24

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POINT OF ENTRY (1981)

 黄金のスペクトル

 

1.HEADING OUT TO THE HIGHWAY(YOU TUBE)
2.DON'T GO
3.HOT ROCKIN'
4.TURNING CIRCLES
5.DESERT PLAINS
6.SOLAR ANGELS
7.YOU SAY YES
8.ALL THE WAY
9.TROUBLESHOOTER
10.ON THE RUN

個人的満足度
 ★★★★★★★★★

 本国のアルバムチャートで4位を獲得した前作は、アメリカツアーの成果もあって、全米でもアルバム34位を記録し、ゴールドディスクを受賞。彼らのアルバムの中で過去最高のヒット作となった。
 そして、第一回 「MONSTERS OF ROCK」 にも出演した彼等は81年に本作「POINT OF ENTRY」をリリース。邦題は「黄金のスペクトル」と名づけられた。プロデュースはバンドの6人目のメンバーとも称されるお馴染みTom Allom
 あまり英国のバンドらしくないジャケ・アートの雰囲気からもわかるようにファンの間ではアメリカナイズだと批判されることも多いある問題作である。曲名もどこかアメリカンな雰囲気が漂うものになっている。
 シンプルでパンキッシュでストイックなまでにハードロッキンしてメタリックだった前作と比べると確かに本作はアメリカ市場を狙ったようなポップでコマーシャルな楽曲が多い。
 メロディだってラジオ・ヒットを狙っていると言われれば否定できない明るさだし、今までの彼らの武器だった英国特有である泣きの美学とは別の次元のもの。大衆的でとっつきやすい音象も手伝ってか全体的に角がとれて丸い印象を受ける。
 まあよくよく聴けばビートは性急感に溢れてパンキッシュだし、リフもソリッドでキレがよいところは前作の流れを受け継いでいる。また、楽曲志向により練られた楽曲はわかりやすく、相変わらず品質力は高い。
 例えばリーダートラックの1.HEADING OUT TO THE HIGHWAYは普通に名曲だろうし、優れたポップ・メタル・チューン3.HOT ROCKIN'7.YOU SAY YES、アメリカン・テイストなのに意外にハマッた4.TURNING CIRCLES、ビートとメロディが心地よい高揚感を生み出す5.DESERT PLAINSなどが聴き所として挙げられるだろう。
 全体的に見れば若干小粒さを感じさせるし、アメリカ市場へのアプローチによってJP流メタルの鋼鉄美学に揺らぎを生じさせているのが個人的には残念ではある。さらには強烈無比な一発に欠けた地味なアルバムという印象は否めない。だが、キャッチーでとっつきやすい作風が悪いわけがないし、個々の楽曲を取り出してみれば水準以上に優れている。
 そういったことから時代を動かす名盤とまでは言えずとも、十分魅力的なアルバムではないだろうか。しかも、次作があのド名盤「SCREAMING FOR VENGEANCE」であるということを考えれば、逆に彼らのターニング・ポイントになった重要作であるとも言える。

 2007.11.25

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SCREAMING FOR VENGEANCE (1982)

 復讐の叫び

 

1.THE HELLION
2.ELECTRIC EYE(YOU TUBE)
3.RIDING ON THE WIND
4.BLOODSTONE
5.(TAKE THESE)CHAINS
6.PAIN AND PLEASURE
7.SCREAMING FOR VENGEANCE
8.YOU'VE GOT ANOTHER THING COMIN'
9.FEVER
10.DEVIL'S CHILD

個人的満足度
 ★★★★★★★★★★

 ラジオウケを狙いすぎたせいか、前作はあまり売れ行きが良くなかったらしいが、ここで彼らはとてつもない作品を世にドロップする。それは1982年にリリースされ、メタルを愛するものなら知らぬ者はいない、通算8枚目のアルバムにあたる神盤「SCREAMING FOR VENGEANCE」である。
 本作に収録されている「YOU'VE GOT ANOTHER THING COMIN」 がヒットし、アルバムも全米チャートで17位を獲得し、プラチナディスクを受賞することとなる。
 全世界のメタラーは言う。これは「HEAVY METALの教科書」だと。もしくは聖典と言ってもいいだろうし、お手本と言ってもいいのかもしれない。
 しかし、何よりも重要なことはこの作品が「完璧で本物のHEAVY METAL」であるという疑いの無い事実である。このアルバムが無かったら現代に溢れているHEAVY METALという音楽は違う音楽になっていたかもしれない。そう言ってもまったく言い過ぎではない、80年代最重要アルバムの一つである。
 前作に垣間見えたアメリカ市場への色気とそれに伴う迷いはまったく感じられない。むしろ、その経験がこの作品の楽曲に大胆に取り入れられ、敷居の高さを感じさせず、わかりやすく、キャッチーでコマーシャルですらある。
 また、初期のドラマティックな叙情性が蘇り、天を駆け上がるが如きギターソロも復活。全体的にポップなのに硬派なのは、「BRITISH STEEL」のカミソリの如き切れ味を誇るリフの美学を取り戻したから。
 そして、冒頭で「完璧」と述べたが、何が完璧か。それは「全て」である。初っ端から聴き手を引き込むドラマティックなインスト1.THE HELLIONに始まり、一撃必殺のパワーメタル・チューン2.ELECTRIC EYEに繋ぐ先手必勝のメタル手法。英国ハードロックもあり、ブライトでアメリカンなポップ・メタルもあり。最後を締めるファンタスティックな10.DEVIL'S CHILDまで一つの流れと化したアルバムの構成は「HEAVY METALの教科書」の名に恥じない完璧なもの。
 また、それ以外にもこの時代が求めたHEAVY METALを究極に体現した楽曲が並ぶ様は圧巻の一言だ。
 けたたましいドラミングから雪崩れ込む3.RIDING ON THE WIND、ギターソロが運命の翼をはためかす4.BLOODSTONE、英国叙情美とアメリカン・ポップ・テイストが融合した5.(TAKE THESE)CHAINSといった序盤の畳み掛けの凄まじさよ。
 中盤以降はタイトル・チューン7.SCREAMING FOR VENGEANCEで前作のリベンジを果たし、全米を組み伏せた8.YOU'VE GOT ANOTHER THING COMIN'の存在がギラリと光る。
 一つ一つの楽曲が眩い輝きを放ち、今も色あせない。彼らの最高傑作の一つとして名高い本作は成長し続けるメタル・ゴッドとしての集大成を銀盤にぶち込んで、焼き付けた、まさに神の遺産である。
 最後にジャケ・アートから邦題「復讐の叫び」に至るまで完璧だということも付け加えておこう。

 2007.11.26

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DEFENDER OF THE FAITH (1984)

 背徳の掟

 

1.FREEWHEEL BURNING(YOU TUBE)
2.JAWBREAKER
3.ROCK HARD RIDE FREE
4.THE SENTINEL
5.LOVE BITES
6.EAT ME ALIVE
7.SOME HEADS ARE GONNA ROLL
8.NIGHT COMES DOWN
9.HEAVY DUTY
10.DEFENDERS OF THE FAITH

個人的満足度
 ★★★★★★★★★★

 最大のヒット作となった前作に続き、彼らは84年に9作目のフルレンスをリリースする。プロデュースはTom Allom
 「信念の守護者」と題された本作は個人的には彼らのアルバムの中で最も好きなアルバムの一つだ。ジャケットに描かれた機械獣「メタリオン」が猛然と襲い掛かる姿からもわかるように凄まじいパワーメタルがぎっしりと詰まった彼らの全盛期をこの上なく象徴する作品である。
 この辺りから音作りも含めてモダン化が進行してくるが、それを嫌味なく消化し、あくまでもJP流メタルとしてのポジションがまったくぶれていないのが素晴らしい。
 スラッシーと言ってしまってもいい強力なリフの走りとキレ。これでもかと組み込まれたドラマティックな叙情性、慟哭を生み出すギターソロ。ポップでわかりやすいコマーシャルなキャッチーさ。それらに彩られた楽曲の即効性と攻撃性は前作を凌駕するほどだ。
 全てをなぎ倒す究極的爆走メタル・チューン1.FREEWHEEL BURNINGに脳天を打ちぬかれ、休む間もなく叩きつけられる2.JAWBREAKER、バイカーに愛される3.ROCK HARD RIDE FREE、ギターソロに圧殺される4.THE SENTINEL、ライブでは定番の重厚ミドル・チューン5.LOVE BITESといった序盤の流れは神の鉄槌の如き破壊力。
 その神々しいオーラは中盤以降にも底なしで、噛み付くが如きアグレッションを燃焼させる6.EAT ME ALIVE、豊潤なメロディを湛えた7.SOME HEADS ARE GONNA ROLL、悲壮感を漂わせる8.NIGHT COMES DOWN、そして、ラストを締めくくる9.HEAVY DUTY10.DEFENDERS OF THE FAITH の2つの流れはまさに鋼鉄の美学ではないだろうか。
 ちなみに10.DEFENDERS OF THE FAITH の邦題は「神への誓い」。7.SOME HEADS ARE GONNA ROLLは「叛旗の下に」、8.NIGHT COMES DOWNはそのまんまだが、「夜が来たりて」である。なんて無駄にかっこいいんだ!!
 全ての楽曲に聴き所が搭載されたキラーぶりはバンドの状態がすこぶる良好で、この上なく脂が乗っていることを示唆している。間違いなく全盛期の彼らにしか創造することが出来ない奇跡の名盤。
 へヴィなのにポップでドラマティックでメロディックでキャッチー。そして、今までのアルバムよりもファスト。なんとも私好みのアルバムである。

 2007.11.27

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TURBO (1986)

 ターボ(紙ジャケット仕様)

 

1.TURBO LOVER(YOU TUBE)
2.LOCKED IN
3.PRIVATE PROPERTY
4.PARENTAL GUIDANCE
5.ROCK YOU ALL AROUND THE WORLD
6.OUT IN THE COLD
7.WILD NIGHTS,HOT & CRAZY DAYS
8.HOT FOR LOVE
9.RECKLESS

個人的満足度
 ★★★★★★★★★

 前作のリリース後、彼らは同年9月に3度目の来日を果たす。
 ツアー後、彼等は82年のショウの模様を収めたビデオ 「JUDAS PRIEST LIVE」 をリリースし、85年にはチャリティーブームにのったメタル・チャリティ企画 「STARS」 に Rob Halford も参加している。
 この後それに伴う 「LIVE AID」 にも登場。しばらくしてアルバム製作のためにスタジオに入る。
 しかし、この年のクリスマス目前に名作 「STAINED CLASS」 を聴いていた少年がショットガンで自殺をはかるという事件が発生。その両親はアルバムの内容が自殺を促したとしてバンドを告訴するが、バンドは無罪判決を勝ち取る。
 そのような状況下で出された10THフルレンスがこの「TURBO」。プロデュースは当然Tom Allom が担当している。
 本作がリリースされた当時はL.A.メタルがもてはやされていたMTV時代。そして、本作の内容もシンセサイズド・ギターを大々的に取り入れ、初期Bon JoviやL.A.メタル勢を彷彿させるゴージャスなハード・ポップにシフトチェンジしている。
 この時代に迎合したかのようなポップ路線の変更は当時のファンに違和感を覚えさせる要素として十分なものだったらしい。また、これもまた良しとするファンも存在し、本作に対する意見は真っ二つに分かれていた。
 「DEFENDERS OF FAITH」の攻撃性を心から愛している身としてはこの路線変更には素直に喜べない部分はあるのだが、この頃の彼らはなんといっても時代の申し子である。雰囲気は変わろうとも楽曲のクオリティが高いのが嬉しい。
 リーダートラックの1.TURBO LOVERを筆頭に本作の楽曲は今更言うまでもないゴッドの優れたポップ・センスを生かし、嫌味無くコマーシャルで純粋にわかりやすいのが魅力。
 ポップではあるが、強力なパワーメタルであることに変わりはない2.LOCKED IN、アルバム中一番のお気に入りで、どこか陰のあるメロがたまらない4.PARENTAL GUIDANCE、ギターソロがまぶしいほど決まる5.ROCK YOU ALL AROUND THE WORLD8.HOT FOR LOVEや今までとは少し毛色の違うミドル・チューン6.OUT IN THE COLDも面白い。
 また、仰々しいギターリフが特徴的な7.WILD NIGHTS,HOT & CRAZY DAYS、アメリカンなライトさと彼ら特有の泣きの美学が融合した9.RECKLESSも優れた楽曲であるし、あんまり小難しく考える必要はないな、これは。普通に名盤だわ。
 L.A.メタルっぽくなったと言われても楽曲の品質はいつも通り高いし、流行を敏感に察知したメタル・ゴッドのアイディアの勝利と言える作品だ。
 そもそもこのバンドは元々時代の流れに上手く対応して名盤を作り出してきた存在だったし、例えここまで大胆にポップ化してもJudas Priestのメタル・サウンド以外の何者でもないというスタンスはやっぱりすごかったし、偉大であったと思うのだ。
 モダンで人懐っこくて親しみやすい。そんな性格を持った本作は個人的にはとても好ましいと思うし、やはり楽曲が良い。これに限るな、この「TURBO」というアルバムは。色々意見もあると思うが、極上のポップ・ロックアルバムと呼んで差し支えないだろう。

 2007.11.28

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RAM IT DOWN (1988)

 ラム・イット・ダウン

 

1.RAM IT DOWN
2.HEAVY METAL
3.LOVE ZONE
4.COME AND GET IT
5.HARD AS IRON(YOU TUBE)
6.BLOOD RED SKIES
7.I'M A ROCKER
8.JOHNNY B.GOODE
9.LOVE YOU TO DEATH
10.MONSTERS OF ROCK

個人的満足度
 ★★★★★★★★★

 前作でのポップ路線が一部のファンには不評だったが、ツアーは盛況で彼らは86年末には3度目の来日を果たす。このツアーを終えた翌年、アメリカでの音源をアルバム、ビデオという媒体で、タイトルは 「PRIEST.....LIVE!」 としてリリースされた。
 その後88年にはレコーディングのためにスタジオに入る。そこでプロデューサーに何を血迷ってかユーロビート畑のストック・エイトケン & ウォーターマン を指名するのだが、当然上手く行くはずも無く、最終的にはおなじみ Tom Allom が起用された。
 インパクト大のジャケ・アートが目を惹く本作は前作のポップ路線を味付け程度に生かしつつ、よりHEAVY METAL強度をスケールアップにビルドアップした内容となっている。
 なんといっても曲名に注目してみて欲しい。2.HEAVY METAL5.HARD AS IRON7.I'M A ROCKER10.MONSTERS OF ROCKである。このAC/DCに通ずる露骨なまでのロック馬鹿っぷりのアピールは嫌でもその濃密な内容を期待させるではないか。
 さて、本作の内容について触れていこう。冒頭でも書いたように基本的な作風としては前作の延長線上になるのだが、L.A.メタルから来るゴージャスなポップ性を抑え、「SCREAMING FOR VENGEANCE」、「DEFENDERS OF THE FAITH」あたりのハード・メタリックな質感を蘇らせている。
 しかし、本作は当時の社会的HEAVY METALバッシングの影響もあり、プロモも印象の弱いものとなっていたようだ。その為、セールス状況も地味なイメージが否めない。
 そして、次作「PAINKILLER」があまりに偉大過ぎる為、それに繋がる過渡期作品という印象を持たれがち。確かに本作にある攻撃性をそのまま加速させたのが「PAINKILLER」というアルバムというのは間違いないだろう。
 だが、本作は「PAINKILLER」云々を別にしても楽曲がかなり充実している作品だ。
 曲中のギターソロが熱い疾走チューン1.RAM IT DOWNにいきなりドタマをかち割られ、Robが高熱にうなされたかのような絶唱を見せ、サビがシンガロング欲を誘う2.HEAVY METAL、スリリングなリフで爆走する5.HARD AS IRON、アメリカン・テイストながらも初期の欧州美性を噛ませたドラマティックな6.BLOOD RED SKIESといったように名曲が目白押し。
 また、ロックンロールの王様であるチャック・ベリーのカヴァー、8.JOHNNY B.GOODEは抜群のアレンジ力で、極上のポップ・メタル・チューンに生まれ変わせている。なんともたまらない。
 それにしても「HARD AS IRON」、「LOVE YOU TO TO DEATH」、「MONSTERS OF ROCK」の3曲は 前作「TURBO」 のアウトテイクと言われているが、信じられん。特に「HARD AS IRON」を外すなんて...。これもバンドが全盛期であったことを象徴しているのだろう。
 ポップでへヴィメタリックでアグレッシヴ。しかも、楽曲がすこぶる良い。「PAINKILLER」の陰に隠してしまうのはあまりにも惜しい傑作だ。

 2007.11.29

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PAINKILLER (1990)

 ペインキラー

 

1.PAINKILLER(YOU TUBE)
2.HELL PATROL
3.ALL GUNS BLAZING
4.LEATHER REBEL
5.METAL MELTDOWN
6.NIGHT CRAWLER
7.BETWEEN THE HAMMER & THE ANVIL
8.A TOUCH OF EVIL
9.BATTLE HYMN
10.ONE SHOT AT GLORY

個人的満足度
 ★★★★★★★★★★

 前作をリリース後に彼等は SLAYER と共に全米ツアーに出発する。しかし、89年秋にはドラマーの Dave Holland が脱退してしまう。後任は元 RACER XScott Travis が抜擢される。Scottは90年には正式メンバーとして加入し、バンドはフランスでアルバム・レコーディングを開始する。
 こうして製作された本作は通算12枚目のフルレンスである。プロデュースは名盤「SAD WINGS OF DESTINY」 でエンジニアをつとめていた Chris Tsangarides を起用。
 「鎮痛剤」というアルバム・タイトルを冠するまさに究極のHEAVY METALアルバム、いや、極北に位置するロックアルバムか。どんなスラッシュメタルよりも研ぎ澄まされ、触れたものを傷付ける。どんなデスメタルよりも不穏な空気を纏い、死に近い。どんなブラックメタルよりも禍々しく、魔の瘴気立ち込める。どんなモダン・へヴィネスよりも新しく、ひたすら重い。いわば最強のロック。
 今の世の中これより激烈なエクストリーム・メタルはいくらでもあるかもしれない。だが、これほどの体感速度の速さ、瞬間風速の凄まじさ、その刹那の爆発力を上回るアルバムがそうはあるだろうか。
 説明無用、問答無用の虐殺メタル・チューン1.PAINKILLERで幕を開ける本作はぬるい曲など一つも存在しない核弾頭アルバム。
 Scottのマシンガン・ビートとギターソロが無敵すぎる2.HELL PATROL、ライヴで大合唱が巻き起こるのが想像に難くない3.ALL GUNS BLAZING、この曲を聴きながらバイクに乗ったらとんでもないことになる4.LEATHER REBEL、クラシカルなギタープレイから極悪キリング・リフに繋がる5.METAL MELTDOWN、さながらシンフォ・ブラックのようなイントロからスラッシーな殺刃リフで襲い掛かる6.NIGHT CRAWLER、もはや彼岸が見える7.BETWEEN THE HAMMER & THE ANVIL、荘厳なミドル・チューン8.A TOUCH OF EVIL...。素晴らしすぎる...。
 そして、ラストを締めくくるのは勇壮と哀切のインスト9.BATTLE HYMNに導かれて始まる超絶ド名曲10.ONE SHOT AT GLORY である。この曲よりへヴィメタリックでドラマティックなパワーメタルなんてこの世に存在するのだろうか。
 とにかく収録されている楽曲は全曲名曲。Robはこの後の脱退を示唆するかのように悲しげな叫びを上げ、鉄壁のツイン・ギターは暴虐と破壊の限りを尽くし、邪悪でありながらも神聖なオーラを放ち、ひたすら美しい。そして、ビートはひたすら死に急ぐかのようにドカドカと打ち込まれる。本作での彼らの演奏は神、いや破壊神としか言いようのない壮絶さを誇っている。
 そして、この作品をリリースした後、フロントマンのRobは脱退。バンドは未だに存続しているし、Robも紆余曲折を経て復帰する。だが、この時からメタル・ゴッドの時代は終わっていたのだろう。神にも効く「鎮痛剤」はこの世に存在しなかったのだ...。
 そう、本作は時代に愛されたメタル・ゴッド、Judas Priestによる最後の歴史的名盤(神盤)、そして、一つの伝説に幕を下ろした作品。その意味と価値はここにある音楽性以上に重い。

 2007.11.30

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JUGULATOR (1997)

 Jugulator

 

1.JUGULATOR(YOU TUBE)
2.BLOOD STAINED
3.DEAD MEAT
4.DEATH ROW
5.DECAPITATE
6.BURN IN HELL
7.BRAIN DEAD
8.ABDUCTORS
9.BULLET TRAIN
10.CATHEDRAL SPIRES

個人的満足度
 ★★★★★★★★★

 91年、Rob Halford が脱退。 Rob は脱退後、FIGHT を本格的に始動。アルバムを2枚リリースした後、インダストリアル・メタルバンド TWO を結成。フルレンス1枚で活動を終え、その後、HALFORD を結成することとなる。
 一方、JUDAS PRIEST は、ヴォーカリストの選定に苦労していた。最終的には Scott Travis 所有のライブビデオに映っていた元 WINTERS BANE のヴォーカリストであり、JUDAS PRIEST のカヴァーバンド、BRITISH STEEL にも在籍していたTim "Ripper" Owens を抜擢することになる。
 彼を迎えたバンドはスタジオに入り、97年には前作から7年ぶりとなった13THフルレンスにあたる本作をリリースする。
 フロントマンであるRob Halfordが脱退し、バンドは7年もの沈黙を強いられたことになったが、ここでTim "Ripper" Owens を迎えて起死回生の一発を狙う...。
 さて、新加入したTim "Ripper" Owensだが、さすがJUDAS PRIEST のカヴァーバンドをやっていただけあってハイトーンでのスクリームはRobに似ている。音階の高さこそ彼に及ばないが、汗したたる熱度の高さは若いだけあって中々パワーがある。違うところといえば基本は中音域で吐き捨てるように歌うところ。ということで分類するなら80年代USスラッシュタイプというべきか。どちらかというと中性的なRobとは違い、こちらは完全に雄度の高い暑苦しいタイプだ。
 Robの後任としては荷が重過ぎるのでは?と最初は心配していたが、中々の実力者だったのでそこはひとまず安心。少なくともIron Maidenで叩かれまくったブレイズ・ベイリーよりは数倍マシだろう。
 アルバムの作風としては疾走チューンを一切排除し、よりモダン・へヴィネス化。それでもラウド・ロックと言うよりはやはりHEAVY METALとしての重量感を保っているのがさすがはJudas Priestといったところか。
 よりへヴィに、よりダークに、よりシリアスに。全編貫かれた貫禄と未だ枯れない美意識の高さ。さらには若い才能であるTimのインプットによって新たに脈打つ瑞々しいエナジーはRobの脱退という事件を忘れさせてくれるのかもしれない。
 例えばリーダートラックの1.JUGULATORやゴシカルな色気漂わす2.BLOOD STAINEDなどの楽曲はRobではなく、新しい時代においてTimが歌うことが大きな意味を持つのだろう。
 ただ、前述した2曲を含めて、本作の楽曲は恐ろしくパンチ力の弱い冗長なものが多い。そもそも長尺な割には見せ場の無さと単調さばかりが目立つのはなんともいかんしがたい。どの楽曲もメタル・ゴッドが造るHEAVY METALの基準点を越えているとはどうしても思えないのだ。
 イマドキのメタルは作れたけど、ただそれだけ、それ以上の新鮮味は皆無。昔からのファンを捕まえておく求心力はない、かといって若い層を取り込むインパクトも無い。
 結局はRobのコンポーズ力がいかにバンドにとって重要だったかを物語る作品になってしまったことは疑いの無い事実であろう。決して悪いアルバムではないが、もう時代は彼らを味方しない。

 2007.12.1

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DEMOLITION (2001)

 Demolition

 

1.MACHINE MAN(YOU TUBE)
2.ONE ON ONE
3.HELL IS HOME
4.JEKYLL AND HYDE
5.CLOSE TO YOU
6.DEVIL DIGGER
7.BLOODSUCKERS
8.IN BETWEEN
9.FEED ON ME
10.SUBTERFUGE
11.LOST AND FOUND
12.CYBERFACE
13.METAL MESSIAH
14.WHAT'S MY NAME*

個人的満足度
 ★★★★★★★★★★

 前作をリリース後、来日公演も果たした彼ら。98年にはライブアルバムもリリース。それに続き2001年には14THフルレンスにあたる本作をリリースすることとなる。プロデュースはGlen Tipton が自ら行っている。
 作風としては前作のモダンなへヴィネスを保ちつつ、メロディの質感やドラマティックな曲展開から全盛期を彷彿させる立ち振る舞いも見せている。リーダートラックの1.MACHINE MANは久しぶりの疾走チューンで私のようなパワーメタル好きには純粋に嬉しい。
 Timのヴォーカルもアルバム2枚目という慣れからか、よりパワフルでエネルギッシュな歌唱を見せており、ヴォーカル・パートだけ聴けばまだまだこのバンドも若いなと思わせてくれる。
 そういう意味においてRobがバンドに居座り続けるよりは良かったのかもしれない。すでに年齢も高く、良くも悪くも昔の歌い方しか出来ないRobよりは多様さはあるし、やはり若さは武器だ。
 例えば全盛期の泣きを彷彿させる5.CLOSE TO YOUでのエモーショナルな歌唱なんて素晴らしいと思うのだが。歌唱力という面においては決してRobと劣るものではないだろう。
 ただ、収録曲の多さからして嫌な予感がしていたが、捨て曲たんまりの曲ムラの多さはファンのひいき目で見ても否定しようが無い。もう時代に対応できず、才能の枯渇が進行しているこのバンドにとって無駄に楽曲を詰め込むのは自殺行為以外の何者でもない。
 5〜6分が基本の長尺な楽曲がダラダラと垂れ流される様は昔からのファンとしてはひどく悲しい。未来へ向けて前進したのはいいが、前作の「楽曲が微妙」という最大の欠点も一緒に積んできてしまった。
 Timが歌うに相応しい楽曲は書けているのだが、それ以上でもそれ以下でもない。そんなアルバムを2枚続けて出してきたということはもう後進へ道を譲るべき伝説のバンドになってしまったのかもしれない。まあ、それは前作から感じていたことだったし、もう彼らに興味をなくしてしまっているファンにとっては何を今更といった感じであろう。
 骨格がJudas Priest以外の何者でもないという点はさすがにメタル・ゴッドと呼ばれたHEAVY METAL職人ぶりだが、楽曲が微妙ではどうしようもなし。前作と共に決して悪くは無いが、それなり、そこそこのアルバムなんてもう彼等に求められていない。かといってこれ以上のものを作る力もないのだろう。
 もう過去のバンドになってしまったことは悲しいことだが、Judas Priestは真に偉大なHEAVY METALバンドであったということをいつまでも私は忘れない。

 2007.12.2

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ANGEL OF RETRIBUTION (2005)

 エンジェル・オブ・レトリビューション

 エンジェル・オブ・レトリビューション(リミテッド・エディション)

01. JUDAS RISING (YOU TUBE)
02. DEAL WITH THE DEVIL
03. REVOLUTION
04. WORTH FIGHTING FOR
05. DEMONIZER
06. WHEELS OF FIRE
07. ANGEL
08. HELLRIDER
09. EULOGY
10. LOCHNESS

個人的満足度
 ★★★★★★★★★

 Rob Halford がバンドに復帰し、2005年にリリースされた15THフルレンス。
 なんとド名盤「PAINKILLER」以来15年ぶりだという黄金のラインナップがここに復活!!昔からのファンにはなんとも嬉しい事件で、新たな名盤の誕生を大きく予感させる出来事であった。
 アルバムの基本的な作風としては前作、前々作からのモダンな重厚さを受け継ぎつつ、「PAINKILLER」の一歩手前まで焼き直しされたかのような伝統的HEAVY METALを展開。Robのコンポーズ・センスも生かされているせいか楽曲の品質の高さではここ最近では最高のものとなっている。
 リーダー・トラックの01. JUDAS RISINGRobが歌ってしかるべきドラマティックなナンバーだし、スラッシーなリフで特攻する02. DEAL WITH THE DEVIL 、久しぶりにパワー・メタルと呼べそうな08. HELLRIDER といった楽曲は現代においてもJudas Priestというバンドは普遍的にかっこいいHEAVY METALバンドであるということを再確認させる。
 また、久しぶりな感じがする欧州的な美しいバラード07. ANGELRobあってこその楽曲であり、Timヴォーカル期にはない強み。さらにはアルバムの最後を締める10. LOCHNESS での深みと貫禄はさすがだと唸らされる。
 前作と比べると曲数を少なくし、コンパクトにスリム化されている為、冗長さを改善。とにかく頭でっかちにならずに普通にへヴィなメタルアルバムを作ろうという気概は評価すべきことなのであろう。
 年齢による衰えは隠せないという前置きこそつくものの、Robの歌唱もまだまだそこら辺の坊やメタル・シンガーでは太刀打ちできない威厳に満ち溢れ、やっぱり今の世でも十分に強力だ。
 ここまでこの作品で好ましいと思ったところを書いてみたが、残念ながら悪い部分も多い。いや、細かいことを抜きにしても「楽曲が弱い」のが相変わらず頂けない。
 前述したように捨て曲が多すぎて眠くなる前作と比べるとマシとはいえ、このアルバムに漂うのは悪い意味での倦怠感、成長の止まった老いた姿。強烈なキラーチューンの不在と中盤の中だるみ。
 ああ、Robが戻ってきても再び彼等に栄光はないのか。新たな決意から練られた楽曲は確かに気合みなぎり、普通にかっこいいメタルに仕上がっていることは間違いないだろう。
 しかし、あくまでも普通の域を出ないのである。シーンが多様化している現代こそこういう普通なメタルをやることがストイックでかっこいいということはバンド、もといRobには確信犯でわかっているのだろう。
 だが、このアルバムでメタルの威信をどうのこうのなんていうパワーはファンのひいき目に見たって存在しないのは間違いない。せめて頭2曲の勢いのままでアルバムの最後まで走り抜けて欲しかったが、途中にあるのが中途半端にへヴィなミドル・チューンや中途半端に美しいバラード達。そして、中途半端な疾走チューン。
 彼らは今まで問題作と言われるアルバムを作るくらい時代に合わせて徹底的に作りこんできた職人気質のバンドだ。だから、ある意味その極端さが魅力でもあった。
 あまりに普通のHEAVY METALなんて今の時代流行らないし、良質なHEAVY METALが聴きたければ過去の作品を聴けばいいだけのこと。もし、現代の流行に本気で喝を入れる気ならば、こんな普通に良いだけの作品は作ってこないはず。
 普通のHEAVY METALだからこんなもんでいいだろという空気が伝わってきて、品質がそこそこ上がったくらいではHEAVY METALの理屈ではない力強さに欠け、素直にメタル・ゴッド復活を喜べないのだ。
 決して駄盤ではないし、それなりに楽しめたが、往年のファンが黄金のラインナップ復活を喜ぶ為だけのアルバム。残念だが、そんな気がしてならない。

 2007.12.3

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