| アダムが犯した罪が「死」という形となり総ての人に及ぶ...と述べる新約聖書のローマ信徒への手紙5章12節をテーマとしたコンセプトアルバム。
「俺達は常に宗教的な事柄からインスピレーションを得ているよ」とは中心人物であるモーガン・スタインメイヤー・ホーカソン<g>の言葉であるが、なるほどこれはあまりに重い。なんて彼らのアルバムを全て聴いたわけではない私が言うのもなんだが、彼は自身の内面を外に出すのが非常に上手い作曲家であると言える。
それにしてもいやはや10枚目のアルバムとは。恐ろしく創造意欲の高いバンドで頭が下がる。しかし、決して後ろを見たり、過去を振り返ったりしないのがこのバンドの良いところである。
さて、基本はスウェーデンというか北欧らしい叙情味あふれるブラックメタル。荒々しく暴虐性を振りまきつつ、非常にメロディックなのがポイント。テーマこそ重いが、音質は良いし、地下ブラックメタルと比べれば、キャッチーでポップですらあると思う。
アルバムの構成自体はブラストパートを駆使したファストブラックメタルチューンを主軸にしつつも、重厚なSEや語りにメッセージ性や宗教色を持たせている。怪しくいかがわしいインストはさながら地下世界に蠢く闇の秘密結社のようだ。それは素晴らしいアートワークと密接にリンクする世界観であり、自分達の精神世界に聴き手の心を引きずりこむ。
#1〜3の優れた楽曲の並びっぷり、#5〜6の静から動への緩急は圧巻である。曲の一つ一つが意味を持ち、アルバム全体の流れでさらに一つの意味を持つ。ベテランでありながら初心を忘れない素晴らしいバンドだ。
まあメジャー感があふれているせいか、地下ブラックにある暗黒性は薄い。そのあたりに若干不満を感じる地下ブラックメタラーも多いと思うが、メロディアスな黒メタルが聴きたいという方に安心して薦められる作品である。 |